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January 16, 2011
  水の都に鳴り渡る空前絶後の響き(1)

今年はバロック音楽をたくさん聴いてみようと考えております。「バロック音楽は十七世紀初頭から十八世紀半ばまでの音楽の総称である」とwikiの冒頭には堂々としるされておりますが、もちろん各地民族音楽などは含まれず、グレゴリオ聖歌から発展発達してきた系譜の泰西音楽に限定されることは皆様の認識のとおりでございます。
そしてその時代の前には「ルネサンス音楽」という時代を経てきております。ルネサンス期の音楽の特徴としてはポリフォニーといって複数の声部が同時進行する音楽が盛んでしたが、より劇的表現力などを求めたモノディ形式、そして通奏低音(Basso Continuo)を持つスタイルに変化していったのがバロック音楽でした。

ではまずバロック期の入口に立つ巨人、クラウディオ・モンテヴェルディ (1567-1643) の「聖母マリアの夕べの祈り / Vespro Della Beata Vergine」を聴いてみましょう。指揮は神奈川フィルの芸術監督を務めておりましたハンス=マルティン・シュナイト翁。1975年の名演奏と誉れ高き盤です。


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モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
レーゲンスブルグ大聖堂聖歌隊他
指揮:ハンス=マルティン・シュナイト
1974年7月、1975年5月、レーゲンスブルグ、聖エメラム教会にて収録
Archiv Produktion / 447 719-2 / 1975


この盤は、シュナイト翁の演奏を聴きに行っていたころ、おそらくは新宿かお茶の水のディスクユニオンで購入したのですが、あまり聴き込まず今日まで放っておいたのです。
いや、それは勿体ありませんでした。たいへん素晴らしい曲ですし、演奏も(この時代の宗教曲を多く聴いてはいませんが)荘厳華麗。殊に第8曲目の「Nisi Dominus」、この通奏低音を伴う5声が2組、10声で奏でられます合唱が堪りませぬ。掛け合いの合唱の見事さ、純に各々の声部とそれらの重なりのフォームに心動かされます。
モンテヴェルディが新しい時代の作曲様式を駆使して拵えた大作のなかで、前時代のヴェネチア派(合唱団を二手に分割した複合唱形式の書法が特徴的)の流れを周到した合唱をも包有し導入している器の大きさには瞠目させられます。この曲が当時のヴェネチア(モンテヴェルディは人生の後半30年をヴェネチア、聖マルコ大寺院の楽長として過ごしました)で奏でられたとき、人々は如何なる思いで聴いたのでしょうか、それはおそらく空前で絶後のことであったでしょう。

11:59 PM permalink | comments (2) | trackbacks (0)