main

November 14, 2009
  今がそのとき(3)

スクリーンが消え、館内の明かりが灯りますと、彼方此方からすすり泣く鼻の音が聴こえてまいりました。
「This Is It」はそういう映画なのです。
わたくしはといえば、映画の終盤ではなく、決して他所様がそうはならないところで感極まってしまったのでした。


この映画をIMAXの劇場で観たことは正解でした。
ライブの、しかもリハのなかで収録し、見事な音楽バランスを再現させました音響技術スタッフの手腕はまったくブラビッッシモ!
そしてバックを努めるミュージシャンたちの素晴らしさ! 殊にドラム、ベースは、ときにリハならではの乱れはございましたが、それはとても小さなことで、彼らの繰り出すグルーブにたいへん心地よい思いがいたしました。
また全編にわたりときに力強く、ときにやさしく、マイケル・ジャクソンの歌唱に寄り添ったり、相対したりと、まったく気の抜けない仕事をこなしていったバッキング・ヴォーカリストの4人。
これらバックの演奏にかんしては、細かなキメどころの調整などが残っていたようですが、かなり完成の域に達していて聴いていて飽きのこない音楽映画となっておりました。
そしてブロンドの直毛ロングをなびかせて弾きまくるリード・ギタリスト! 格好いいですねぇ。


それはもちろんよく知った曲です。リフもカッティングもまるで昨日聴いたかのようによく憶えています。間奏のリフからカッティングへ移るところでギタリストはステージ中央に出てきました。このあとは激烈なソロに突入するのです。
「Beat It」はブラック・コンテンポラリー・ミュージックと白人の8ビート・ロックの見事なミクスチャーで、レコードではもちろんエディ・ヴァン・ヘイレンがソロを弾いておりましたが、この「This Is It」でのリード・ギタリストはOrianthi。彼女がソロを弾き始めたとき、わたくしは全身から鳥肌がたち、そして熱いものがこみあげてまいりました。
当時10代のわたくしを熱く熱くさせた楽曲は四半世紀を経て今度は涙を零させたのでした。
(上のリンク先YouTube映像はOrianthiのニューアルバムからのカット)
(終わり)

2:05 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)

November 12, 2009
  今がそのとき(2)

何故、彼はそこまで激しく踊る必要があったのでしょうか?
(以下、ネタバレ注意)
映画「This Is It」の終盤、マイケル・ジャクソンは彼の大ヒット曲「Billie Jean」(もちろんこれもリハーサル)でずいぶんと熱いダンスを披露しておりました。彼のダンスは他の楽曲においても鋭いキレを誇っておりまして、年齢に見合わない素晴らしいものでした。ゴシップばかりが目につくスーパースターではありましたが、超一流のエンターテイナーとして(の自身を維持するため)エクササイズを欠かさなかったのではないか、あるいは徹底的なリハビリを行なったのではないかと想像いたします。
さて「Billie Jean」でのマイケルはソロで踊っておりました。そしてそれはかなり即興的なダンスであったかもしれません。コリオグラフの観点から見れば荒削りなものでした。しかし故に彼の熱さが伝わってくるのです。オーディションで選ばれたバック・ダンサーたちはアリーナからその姿を見ていたのですが、彼の熱いダンスにすっかり興奮させられた様子が窺えました。

continue reading "今がそのとき(2)"

11:07 PM permalink | comments (4) | trackbacks (0)

November 11, 2009
  今がそのとき(1)

何故、彼はそこまで激しく踊る必要があったのでしょうか?
それはあくまでリハーサル。しかも本番までの日も充分にあったと思われるなかでのことです。彼はオーディションで選ばれた共演バック・ダンサーではなく、行なわれようとしているコンサートの主役。しっかりとした演出家やその他充実したスタッフが揃ってはいますが、全ての最終決定は彼の掌中にあったはずです。動きを示し、流れのガイドとなるだけで、そのときの彼の仕事は成立したはずなのですが、単純にミュージシャンとしての、ダンサーとしての血が、そうさせただけなのでしょうか?

ここしばらくの彼の音楽にも、そして先日の彼の死にさえ、わたしの心には響いてきませんでしたが、彼方此方から推薦のメールをいただきましたので、マイケル・ジャクソンの「This Is It」を観てまいりました。
折角の音楽もの映画です。以前から興味がございましたIMAXシアターへ行こうと、川崎駅西口のシネコンへ、仕事帰りに寄って(とは云いつつ、しっかり事前予約をして)きました。21:30からのレイトショー枠です。

continue reading "今がそのとき(1)"

10:34 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)

February 21, 2009
  移ろう時のなかで、もっとも輝く中秋の

カサンドラ・ウィルソンの代表的なアルバム「New Moon Daughter」に収められたニール・ヤングの名曲「Harvest Moon」はイメージを喚起する力の強い作品であるように思います。
たとえば小さなカフェの、通りに面した席で、雨が流れる窓の向こう、ときおり過ぎる濡れた路面を跳ね上げる車の音、酔人の嬌声、深夜に行き交う音の流れの向こうを。


continue reading "移ろう時のなかで、もっとも輝く中秋の"

3:26 AM permalink | comments (7) | trackbacks (0)

October 22, 2008
  ブリュンヒルデは天駆ける馬の夢を見るか?

最近のこと。娘と「崖の上のポニョ」を観にゆきました。夏休みに家内の実家から従兄弟たちと観にいっていた娘は二度目の鑑賞。わたくしは初回。キャラクターも主題歌も大好きな彼女からの、もう一度観たいとのリクエストだったのでした。
宮崎氏の映画は劇場で、DVDで、かなりの作品を拝見しておりますが、今回ほど、おや?と思いながら観たことはございませんでした。

(以下、ストーリー、描写にも言及しています)

continue reading "ブリュンヒルデは天駆ける馬の夢を見るか?"

12:56 AM permalink | comments (4) | trackbacks (0)