渋谷区猿楽町の路地を抜け代官山郵便局の脇より八幡通りへ、そして旧山手通りから鎗ケ崎交差点へ。駒沢通りを中目黒のほうへ下っていった先、記憶では目黒川を超えたところにスーパー・ダイエーがあったのでした。昭和40年代前半、ときおり近所の商店では揃わない日用品を購入しに、わたくしは母に手をひかれて其処へ訪れたことを憶えております。
鎗ケ崎交差点から目黒川までは下り坂、右手から代官山のトンネルを抜けてきた東急東横線が走ってまいりますと幼少の男の子ですから、それはもう興奮したものでした。
かつてこの下り坂の頭上には旧山手通りにほぼ沿っていた三田用水が、目黒川に向けて標高を落としてゆくこの駒沢通り上を水道橋にして水路を渡していたと、少し前に父、母から聞かされて呆然としたのでした。わたくしにはその水道橋の記憶がなかったからなのです。
もう先週のことになりますが、金曜深夜、日付は5月16日(土)00:15〜00:45の「タモリ倶楽部」では、あの「川の地図辞典」の版元、「之潮」さんの芳賀社長を交えて三度目となる川好き系企画「好評!都内歩いているだけ企画、三田用水のこん跡を巡る!」がオンエアされたのでした。
(先だってGWに芳賀社長にお会いした際にいただいた季刊Collegioの巻末、お知らせの項にちらと番組出演の紹介が為されておりました。)
放送では、鎗ケ崎交差点近くの水道橋、その在りし日の白黒写真が紹介されましたが、その画を見ても思い出すようなことはございませんでした。
幼少のわたくしにとりまして、彼の水道橋はあまりにも高いところを渡していたのでしょう。おそらく視界の及ばぬところ、空に近いところを。
関連エントリー
・MADCONNECTION: 「川好き系タモリ倶楽部 Vol.3」
・東京クリップ: 「タモリ倶楽部川を歩く第3弾は三田用水」
1:27 AM permalink | comments (6) | trackbacks (0)
堀切菖蒲園駅前の「青木書店」さんにて購入しました藤田佳世著「大正・渋谷道玄坂」を早速読み始めております(前回エントリー参照)。
この本は、深川のことを随分参考にさせていただきました「深川散歩/東京クリップ」のじんた堂さんに教えていただいたのですが、さすが本にお詳しい方の推薦とありまして、穏やかな筆の運びによき日の渋谷の姿をいっぱい想像できる素晴らしい本であります。
そして同日に購入しましたもう一冊、大岡昇平氏の「幼年」ですが、こちらは現・旧山手通りに沿ってございました三田用水や、明治通り沿いの渋谷川につきまして調べておりましたら、大岡氏が幼年時代を綴ったこの本に渋谷川の描写があるとのことで購入に至ったのです。
大岡氏も幼少年時代を渋谷(の彼方此方)で過ごしているのですが、「幼年」を書くにあたり、そのあとがきに「藤田佳世さんに有益な御教示を得ました。」とありましたことは、わたくしの想像にはなかったことでして、またその藤田氏の本(大正・渋谷道玄坂)を読み進めてゆきますと、どうやら大岡氏のリクエストにより藤田氏が古老にアポをとり、一緒に取材をする項があるではないですか。
すなわちこの2冊はまるで兄妹のような本であることを、購入して気付いたのでした。
12:25 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
街を歩いて古書店を見つけますと必ずや立ち寄ってみることにしています。
ある処では趣味が違っていたり、またある処では欲しかった本が偶然見つかったりと、それはとても楽しい時間となります。
ところで昨今は、とても便利な時代でございますから、欲しい本はネットで調べ、通販で手にすることもしばしばございます。殊に地方の古書店にて絶版ものが格安でリストされているような場合、このようなシステムはたいへん有り難く思います。
ところで先頃より探しておった本、地域の図書館では館内閲覧のみ可能で、貸し出してはくださらず、それならば都立図書館より取り寄せてほしいとリクエストしましたら、地区内に蔵書しているものは取り寄せはできないのですと断られてしまい、ならば古書を求めようと、いつものようにネット検索をしたのでした。
そこでヒットしたHPへアクセスしてみますと、どこかで見覚えのあるページでした。しばらく考え、あぁ!と確認してみましたら、やはり「Kai-Wai散策」さんで紹介されておりました『青木書店』さんだったのです。
これは是非ともお伺いしまして、希望の書籍を手にしたく、先日京成電車に乗り「堀切菖蒲園駅」まで出掛けて参りました。
厚い雲に覆われた日でしたが、店の前に立ちますと、低い色温度の温かなあかりが隙間なく書架に並べられた本たちを照らしております。店頭のガラス仕切りと、ドアの桟の緑色が、きれいに映えております。そして、まさに「本である」『噂』のドアの取っ手をひき、店内に入りますと、本たちが放つ匂いが仄かに香ってまいりました。
店にはご主人と奥様がいらっしゃり、こちらに来た経緯や、わたくしも拙い写真を撮っていることをお話しさせていただいたのですが、水辺の写真というわたくしのテーマについて、ご主人から葛飾区内にございます水元公園を薦めていただきました。帰宅後、少し調べてみますと、なるほど素敵な水風景が撮れるかもしれません。其処はこれからの課題として調べを進めてみたいと考えております。
一冊一冊、とても大切に扱われていることが見てすぐ解る書架。ああ、本を愛していらっしゃるのだなぁ。そのなかから、たった2冊だけでしたが、入店したときには既に揃えていただいておりました本を手にして、とても豊かな気持ちになったのでした。

この日購入した本
・大正・渋谷道玄坂(シリーズ大正っ子)/藤田佳世著/青蛙房
・幼年/大岡昇平著/潮出版
どちらも美しい箱入り娘たちでございました。
11:02 PM permalink | comments (4) | trackbacks (0)
更新が滞っておりましたので、最近読んだ本の話しでも。
目黒区と渋谷区を跨ぎます上村坂の話題から、本にお詳しい方より、かつての渋谷南平台の写真が載っております「名作写真と歩く、昭和の東京」(川本三郎著 平凡社 2007年刊)を紹介していただきました。
これは昭和7年(1932)から63年(1988)まで、52名の写真家によって東京で撮られた写真67点を紹介したもので、読売ウィークリーに連載されておりました「東京時空散歩」を加筆、再校正したものとのこと。数々の写真だけでなく、1点1点、川本三郎氏の文章を読めるのが楽しい写真本でございました。
掲載写真を撮っております主な写真家は、(敬称は略させていただきます)荒木経惟、上田正治、木村伊兵衛、桑原甲子雄、牛腸茂雄、須田一政、田沼武能、丹野清、東松照明、土門拳、長野重一、細江英公、森山大道などなど、外国人写真家はHCB、ロバート・キャパ、ルネ・ブリ。昭和ですねぇ。まさにその時代を代表する方々のお名前ばかりです。
continue reading "名作写真と歩く、昭和の東京"
12:02 PM permalink | comments (2) | trackbacks (0)