袖擦宵景の宵
蒸し暑さが続いた梅雨明けのころ、めずらしく心地よい風に桜木の葉がそよぐ宵、わたくしはいつもの道(これと、これ)を経て、神楽坂へと向かいました。
熱海湯脇の路地階段で、これもまたいつものように三脚を立て、そして既に知っている露出値に写真機をセットし、人が来るのを待ちます。此処に飽きると、写真機を仕舞い、そして移動。和可菜の前でまた同じように。
昨年も撮影をしました「袖擦宵景」、そのイメージを再び具現化するために、浴衣姿の人々が多く集まるほおづき市のある晩(今年は7月23日、24日に開催)に出かけていったのでした。ほんとうは二日間あるほおづき市の両日とも撮影に出かけたかったのですが、二日目は仕事を抜けることが叶わないことを予め判っておりましたから、一日目だけ、昨年から増長したイメージを収めるために集中して臨むことになりました。
引伸ばしプリントをおこなう時間をまったくつくれていないのですが、それでもこうして撮影だけは行なっているのでした。
(参考エントリー)
平成19年9月6日 / いま、そこに咲く花(6)/ 袖擦宵景(1)
平成19年9月14日 / いま、そこに咲く花(8)/ 袖擦宵景(2)
平成19年9月20日 / いま、そこに咲く花(10)/ 袖擦宵景(3)
平成19年9月26日 / いま、そこに咲く花(12)/ 袖擦宵景(4)
拙ブログでの神楽坂の話題は、サイト内検索(右列下部にございます)にて「いま、そこに咲く花」のワードで引いてくださいませ。
6:39 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(6)
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"神楽坂の光と陰(6)/熱海湯通り"
July '07, @Kagura-zaka 3, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed D-72(1:3)
この印画紙は現像液の希釈率に敏感に反応して、色調がだいぶ変わりますね。
(前エントリー参照)
9:38 PM permalink | comments (8) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(5)
(click on the image for enlarged)
"神楽坂の光と陰(5)/熱海湯脇階段"
July '07, @Kagura-zaka 3, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 50mm f1.4 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 1600, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed D-72(1:2)
1:48 AM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
師走に追われ、ばたばたしておりますと、あっというまに日にちが経ってしまいます。12月5日に記しました外堀の紅緋に染まった桜葉は、ほとんど舞い落ち、今も木に残るものたちは既に深緋を超え、茶に近い赤銅色となり、風に震えております。
神楽坂へ訪れるとき、逢坂よりひとつ東側の「ゆ嶺坂(ゆは"まだれ"に"臾"を書きます)」を登ってゆくのが常になっております。車一台分の幅に、右にキリスト教会を、左に瀟洒な邸宅を見ながら、かなり急な坂を登ることになります。
直接神楽坂下から、神楽坂を登っていってもよいのですが、このゆ嶺坂がただただ好きなのです。
坂を登りきると若宮町。都心の限られた土地を有効に使ってモダンに建つ若宮八幡がございます。
そして今度はゆるりと下り、その先の丁字路を右に折れますと、右側には居酒屋や小料理屋などが並ぶ横丁となり、左側にはマンションが建っているのですが、暖かな季節には、どこの部屋からか、開いた窓からときどき三味線の音が漏れ聴こえるなかなかな処なのでございます。
その先に熱海湯という銭湯がございまして、向かって右側に私有地のような空間が在りますが、其処へ思い切って進入してみますと、さらに奥へ延びる階段路地が出現します。
わたくしはこの階段路地が好きで、何度も撮影をしております。夜間、からんからんと桶がタイルを打つ音や、ばさっーと湯を浴びる音が、このうえなく心地よく耳に入ってくる処で、三脚を立て、カメラを階段上に向けてセットするのです。
この熱海湯脇の階段の右側は和風の居酒屋ですが、左側はどこか欧州的な雰囲気がございまして、訪れたことはございませんが南仏の古い街の路地を想像させてくれるのです。
されどコート・ダジュールの波音は聞こえず、ただ爺いや、婆あやの湯浴みの音だけが響くばかりなり。
階段を登りきりますと、路地幅はさらに狭くなり、そして左へ直角に折れます。板塀に挟まれたところを進みますと、他方から向かってきます、別の、少し幅のある路地にぶつかります。その交差した向かいに見番があり、隣には稲荷の小さな祠が建っております。その先にはすぐ神楽坂下から登りきり、既にたいらになった後の神楽坂主街路の賑わいが見えてくるのです。
1:07 PM permalink | comments (2) | trackbacks (0)
この季節、紅緋に燃え上がるそめいよしのの木々を、もう何年も見ていながら、それらを写真に撮ったことはございませんでした。なんと云いましょうか、色といい、今にも枝から、はらり、としそうな危うげな緊張は、美としての泰然さをそこに取り付く島もなく孕んでいることが、撮る欲求を抑制しているのだと思います。そうして斯様な美に触れますと、わたくしは、どこかが欠如したもの、またはどこか過剰なもの、撮りたいと思うのはそういったものなのだと殊更明確に気付くのでした。
さて、九段で働くわたくしが神楽坂へ赴くとき、新見附橋を渡り、牛込濠に沿い外堀通りを北東に向かいます。もちろんその道程はささやかな四季を享受しながらの歩みになります。
外堀通りの向こうには牛込の台地が聳えているはずですが、通りに面したビルにより台地が迫っていることはあまり意識できなくなっております。ところが新見附橋と、JR飯田橋駅西口がございます牛込橋の中間あたりで、わたくしは通りを横断するのですが、その向かいには台地への上り坂、逢坂がございまして、其処だけ台地への登り口がぽっかりと開いているように感じられます。
そして此処、逢坂への登り口は日仏学院への入口にもあたっております。
午後、このあたりを歩いておりますと、フランス人の子どもが恰好のよい自転車に乗って先を走るお母さんの後ろを一所懸命に追いかけていたり、おそらくはお手伝いさんであるアジア系の女性に連れられ歩く姿をよく見ることがございます。
実際、逢坂上などの牛込の台地には多くのフランス人が住んでいるのです。これは牛込濠を挟んだ対岸、千代田区富士見にリセ・フランコ・ジャポネ・ド・トウキョウ、すなわちフランス語ナショナル・スクールが在ること(在日仏人の家族に欠かせない環境でありますから)に依ると思います。
7:33 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
かつての江戸城、そのもっとも外側を囲んだ堀を外濠(そとぼり)と呼んでおります。現在そのほとんどが埋められてしまいましたが、濠の北東部を担っておりました神田川を除く部分では、JR四谷から飯田橋にかけまして、市ヶ谷濠、新見附濠、そして牛込濠が、そして赤坂見附近く、ホテル・ニュー・オータニの裏にもわずか、残っております。
わたくしは平日の毎朝、そのうちの新見附濠と牛込濠を見ながら通勤しているのですが、此処では濠に沿って花吹雪を舞うそめいよしのの花弁が水面の縁を埋め尽くす春や、流れのない濠ならでは藻の繁殖によって木々の葉々より濃い常盤緑に水面を染める盛夏などなど、都心にありながらささやかな四季の情趣を楽しむことができるのであります。
今週、この濠沿いに並ぶあまたのそめいよしのの葉が、ようやっと紅緋に染まってまいりました。濠の辺や、歩道に舞い落ちた葉のなかには猩々の緋にまで、その色を深めたものもございました。
桜花爛漫のころ、ほとんど白に近い薄桜色の花弁を咲き誇ったこれらの木々が、老翁無双の名人が締める調べの緒のごとく、最後の情念を燃やすかのような色を見ることで、わたくしは晩秋から初冬への季節のうつりを感じ入るのです。
2:46 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/袖擦宵景(4)
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"袖擦宵景(4)"
July '07, @Kagura-zaka 4, Tokyo.
Taken with the canon poupulaire, with the canon L-mount 50mm f1.4 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 1600, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in customized D-72(1:3)
11:34 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(4)
(click on the image for enlarged)
"神楽坂の光と陰(4)"
June '07, @Akagi-Shita-Machi, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in customized D-72(1:3)
9:49 AM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/袖擦宵景(3)
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"袖擦宵景(3)"
July '07, @Kagura-zaka 4, Tokyo.
Taken with the canon poupulaire, with the canon L-mount 50mm f1.4 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 1600, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in customized D-72(1:3)
4:27 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(3)
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"神楽坂の光と陰(3)"
June '07, @Kagura-zaka 6, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed Id-78(1:3)
9:18 PM permalink | comments (4) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/袖擦宵景(2)
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"袖擦宵景(2)"
July '07, @Kagura-zaka 4, Tokyo.
Taken with the canon poupulaire, with the canon L-mount 50mm f1.4 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 1600, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in customized D-72(1:3)
11:09 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(2)
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"神楽坂の光と陰(2)"
June '07, @Wakamiya-cho, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed Id-78(1:3)
11:31 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/袖擦宵景(1)
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"袖擦宵景(1)"
July '07, @Kagura-zaka 4, Tokyo.
Taken with the canon poupulaire, with the canon L-mount 50mm f1.4 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 1600, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed Id-78(1:3)
4:35 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(1)
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"神楽坂の光と陰(1)"
June '07, @Akagi shrine, Akagi-Moto-Machi, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed Id-78(1:3)
拙ブログ関連エントリー
・路地の光、杜の木陰
・いま、そこに咲く花(1)
・いま、そこに咲く花(2)
・いま、そこに咲く花(3)
・いま、そこに咲く花(4)
11:59 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
「いま、そこに咲く花(1)」というエントリーをアップしましたとき、最近神楽坂ははちょっとしたブームになっていますというコメントをお寄せいただき、流行に疎いわたくしは最近頓に路地見学者が多くなりましたことを思い浮かべ、ほう、と膝を叩いた次第でございます。
確かにJR飯田橋駅ビル内や、地下鉄神楽坂駅近く坂上の商店街にございます書店をのぞいてみますと、店頭には所謂神楽坂本が、すなわち街や、そこで営まれている飲食店などを紹介している雑誌やムック本がいく種も積み重ねられております。
そういった本を購入することはありませんが、それでも店頭にて、ぱら、ぱらとページを捲りますと、この街を代表するような光景が写真で紹介されております。
事程左様に、この街の景色は多くの人に伝えられており、まだ訪れたことがない方々でも、それらの本や雑誌を手にすることによりまして、此処の風趣の一片は感じ取っているのだと思います。
ところで、わたくしは今週三遍ほど、仕事が終り次第、この街を訪れていました。
少し前より、この街を写すアプローチをはじめ、ようやっとわたくしなりのこの街の伝え方が、その映像イメージが固まってきたのです。もちろんそのイメージは神楽坂本には載らないような種のものでございます。
折しもあれ、25日水曜日からは「神楽坂祭り」が始まり、多くの人で賑わっておりました。撮影はまず月曜日、暗く、人通りの少ない路地にて、露光のテスト。充分にディープシャドウを満たす値を探るべく即現像してネガの様子を確認いたしました。そして水曜、木曜と、祭りのメイン会場であります毘沙門さま、そして表通りだけでなく路地の隅々まで人々で賑わうなか、黙々と撮影をしておりました。
イメージした方向性はよろしいようですが、完成させるまではもうひと息といったところでしょう。このイメージは夏場を逃すと辛くなりますので、この時期が過ぎてしまいますと、また来年に再挑戦ということになります。写真制作とはかくも時間が掛かるものですね。
6:05 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
前回のエントリー「霊岸島を歩く」にて、中央区新川で見つけた古書店で、近藤富枝著「今は幻 吉原のものがたり」という文庫を購入したことを記しました。
女史の作品では、わたくしが本郷界隈を撮影しましたころ、「本郷菊富士ホテル(近藤富枝著・中公文庫)」を読んでおりました。
その作品中にて、坂口安吾の恋人と記された矢田津世子(やだ つせこ 1907~1944)という作家の名を知り、その矢田が、
「自分はどういう意味にしろ圧迫する人を持ちたくない。そのために萎縮する性質だから」
と、進展芳しくない恋を振り切り、小説を書くことを選んだということにたいへん興味を覚えました。
そうして、矢田津世子の「神楽坂(神楽坂・茶粥の記―矢田津世子作品集・講談社文芸文庫に所収)」という芥川賞候補となった作品を、古き時代の神楽坂の様子が窺い知れるかもと、早速読んでみたのです。
坂下の袋町(現存)の妾宅へ通う、坂上の通寺町(現神楽坂6丁目)もしくは横寺町辺りに住む「馬淵の爺さん」。妾のお初は、爺さんに贅沢なものを強請るのが得意。ところで爺さんの本妻はたいそうな働き者。身体を患い床の生活を強いられているものの、腕に覚えのあるお針仕事を辞めることはない。爺さんは妾をもつほど経済的には恵まれているというのに、であります。
そしてその本妻、お内儀さんが床の生活を始めた頃に孤児院から引取られ女中として働くお種は、お内儀さんのしっかりを引き継いでゆく。
近藤富枝さんは、余程矢田津世子に心を奪われたのでしょう、「花蔭の人-矢田津世子の生涯」と彼女の伝記も書かれております。「本郷菊富士ホテル」によりますと、矢田は「うわぜいが高く、体格もすぐれ、目鼻立ちも美しく、いわゆる秋田美人で、色も白」かったのだそうで、そこで挿された写真から判断しますと、はっきりとした目鼻立ちは、宝塚の男役など似合うのではないでしょうか、と云いますのも、他の資料も含め、わたくしが見た彼女の写真すべてでネクタイを締めているのです。そんな麗しい方です。
消費することしか口にしないお初、ものを作り生み出してゆくということが身体に染み込み始めたお種、それらは今の街そのものにも通じる二面性なのかもしれません。
(注)イタリック体の箇所は、近藤富枝著「本郷菊富士ホテル」(中公文庫)より引用
6:19 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
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"Untitled"
April '07, @Kagura-zaka, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Ilford MG4 RC, Pearl, dev in Home brewed D-72 (1:2)
6:01 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)
柳橋、江東区、そして市川と、撮っているこのごろでございますが、実は代官山と、神楽坂にも足を向けてアプローチを開始しております。
代官山はわたくしが五歳まで過ごしたところ。記憶の中にある街の姿と、まったく様変わりしてしまった現在のイメージを重複させることで、なにか作品ができないものかと、考えているのです。
東京都新宿区にございます「神楽坂」の一部は今も続く花街であります。東京に残る花街で、唯一花街的雰囲気を保っている処ではないでしょうか。かつて東京最大最盛の花街でありました柳橋は、ひとりも芸妓がいない街となって久しく、そこでわたくしは目にしたことのないかつての輝きに対し、遅れて産まれた者の愁嘆を作品に結び付けようと足掻いているのでございます。ところが神楽坂にはその花がございます。もちろん実際に花を摘んで遊ぶことができるような身分ではございませんが、日が暮れた街を歩いてみますと、なんともいえない風情に心を奪われることを拒むことができません。それでも現役ということに甘えて、撮影をする、という行為を延ばしておりました。
ところが過日、戦慄を禁じえない出来事が起こりました。
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continue reading "いま、そこに咲く花(1)"
5:49 PM permalink | comments (10) | trackbacks (0)
昼過ぎから陽のあかりが射し、遠方は霞んでいるものの、それでも近景撮影にはよいコントラストを得られるような西日となりました2日土曜、仕事を切り上げた後、神楽坂へ向かいました。
此処は現役の花街が在る処でございます。勤務先からも近く、ある事をきっかけに撮影を始めました。その経緯は後日あらためて記させていただきたく思います。
さて土曜日は、黒い板塀に挟まれ、足下には石畳が敷かれた、神楽坂を象徴する路地への探訪ではなく、さらに奥へ、地下鉄東西線神楽坂駅の北側、まるで魚の骨のようにいくつもの路地が伸びる赤城下町へといって参りました。
ところでこのあたりの細い路地には井戸跡が見られたり、わたくしのようなよそ者が、平気な顔で入り込むことが憚れるような住人のための生活路でございました。そこでご迷惑にならないような場所で、陽の光によって描かれるコントラストを切り取る作業を数シーン分撮影し、静かにこの地域を辞して参りました。
夕刻からの予定にはまだ時間の余裕がございましたので近くの赤城神社に立ち寄ることに致しました。低地の赤城下町からみますと急斜面を伴う台地の上に建つお社へ、メインの参道からではなく、西側の階段を登って境内に入ります。すると木々の葉に覆われた一面の陰によってひんやりとした空気が満ちており、西日の直射を受けながら歩いた赤城下町での路地探訪、そこで汗ばんだ身体にはたいへんよい心地が致します。
お参りを済ませ、境内を廻りますと、社脇の建物の2階に木製のテラスのような空間があることに気付きました。どうやらカフェのようでしたので、そのテラスへ直接アクセスできる階段を登ってみました。
たくさんのお客さんで店内は満席となっており、ちょっとお茶を喫することが叶わずに残念でございました。後ほど調べてみますと2008年までの期間限定で営まれております「Akagi Cafe」というカフェバーでございました。週末にはライブも催されているそうです。お社の木々を眺望できる環境はなかなか宜しいようで、次回は是非ゆっくりとしてみたいと思いました。
赤城神社を辞し、神楽坂をくだり、JR飯田橋駅へ。次に予定した撮影を為しに柳橋へと向かいます。
1:59 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)