衆多の写真家たちによって、撮られ、そして作品として発表され続けてきた都市、東京。
ある者は都市景観に着目し、ある者は主婦の生活に密着し、またある者は渋谷のアンダーグラウンドに耽溺しつつ更けた夜の若人を追い、さらには路地の奥へ、人工地下水路へ、名だたる写真家たちが、彼ら固有の素晴らしい世界観で東京を表現してきています。
それだけの写真を記憶の中にかかえながら、それでもなお、東京を撮ることは可能なのでしょうか。未だ見ぬ東京の姿は表現し得るものなのでしょうか。
そのひとつの答えを、前回ご紹介いたしました、Kai-Wai散策のmasaさんこと、村田賢比古さんの写真集『時差ボケ東京』が示しております。
ほんとうは、その表現につきまして、殊更具体的に記してゆきたいところです。それでは、これから写真集を手にされたいと考えていらっしゃる方々は詰まらないでしょうから、おおいに謎を残しておくことにいたしましょう。
写真は、時間と空間を切り取る行為だと、よく云われております。ところで、移動という行為は、時間と空間に作用することであるのは誰もが解ることですが、さらにそれには絶対的な移動と相対的な移動が存在します。
そこで『時差ボケ東京』では、それらふたつの種類の移動行為を組み合わせ、観察者の状態によっては移動という行為が相殺される可能性とデフォルメされる可能性を同時に示しております。そして相殺された移動を、絶えず在るものとして主題化し、デフォルメされた移動を背景として造形の根幹を担わせているのです。
このように表現された東京を、わたくしだけでなく、かつて見た人はいないでしょう。
あるときはビルの谷間を、あるときは商店街に向かう横断歩道を、あるときは落葉で埋まったキャンパスを、移動しながらも、わたしたちは、ふと、あなたの存在に気付くことがあるのです。
そして、ときに、あなたも、わたくしのことを。
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あなたは、この奇異な撮影を行なっている写真家を、東京の街角のどこかで、見かけているかもしれません。
その写真家の知力、体力、技術力、まさに全身全霊を懸けて挑まれた作品集『時差ボケ東京』が発売となりました。その写真を撮った方は「Kai-Wai散策」のmasaさんこと、村田賢比古(むらたまさひこ)さんなのでございます。
制作中から楽しみにしておりました。まだかまだかと勝手に思いを募らせてまいりました。先日5月22日、いやわたくしがその行動をおこしたとき既に時計は24時をまわっていたでしょうから23日のこと、その深夜、いつものようにブックマークから「Kai-Wai散策」にアクセスしましたら、待望の写真集完成、そして発売のお知らせがアップロードされておりました。これです、
そして、時間をおいて、masaさんがたいへん想いをよせていらっしゃる墨田区の京島という素敵な町にございます、これまた素敵なご夫婦によって営まれ、京島といえば的な「LOVE GARDEN」さんにて、この写真集を購入できるとも追記されました。
かつて、そのmasaさんが愛する、京島という町を是非歩いてみたいと思い、わたくしも一度だけ訪れたことがございますが、あらためて地図を眺め、LOVE GARDENさんの位置を確認し、24日の土曜、いそいそとでかけてゆきました。
LOVE GARDENさんに到着しましたときには、なんとmasaさんご本人もいらっしゃいまして、お祝いの言葉をお伝えできましたこと、たいへん光栄なことでありました。
手にした写真集。そこには、東京が、この都市を歩き尽くされた方によって、かつて見たことがない、まったく新鮮な姿で表されておりました。
※時差ボケ東京 / 村田賢比古 / M&Y Grafix刊 / 価格 3,600円+消費税
ISBN4-9904156-0-0
※上記、LOVE GARDENさんに加えまして、現在のところ、神保町の「ブック・ダイバー」さんでも購入できるとのことです。
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写真好きでありながら、普段あまり写真集なるものを購入しないわたくしですが、その理由は以前に記しました。
ところが今年2月に出版されたある一冊、おそらくは(出版元には申し訳ないのですが)あまり注目されることもないでしょうし、ローカルで、小規模な出版元(決してネガティブな意味で云っているのではありません。逆に今後も良品の出版を期待してしまいます。)故に増刷される見込みも少ないだろうと勝手に判断しまして、思い切って購入してみました。
はこだて記憶の街 / 熊谷孝太郎・撮影(Mole、はこだて写真図書館叢書版)
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1:26 PM permalink | comments (2) | trackbacks (0)
写真集を見て、写真を見た気にはなりません。写真集に載せられているのは印刷された複製であり、いかに高度な印刷技術を駆使したところで、オリジナル・プリントを充分に再現するに至らないからです。写真を見るなら美術館やギャラリーで生プリントを。これが僕の考え方です。
ところがそんな写真集もよく見ているのですよ。上記の考え方から、それらに1万円も支払って購入する気には到底なりませんので、たいていは図書館で借りてきます。ある興味を持った写真家のガイドとして見てみるのです。または写真としてではなく、一冊の本として。
どうせ写真は印刷なのですから、本として面白いものはありがたいのです。
ロバート・メイプルソープの写真集を借りてきました。
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1:18 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)