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December 14, 2010
水路を求めて東京を歩いていますと、もう埋められてしまって、わたしたちが見ることの適わないものも多くあり、かつての東京にはそのように失われたものも含めて水路が縦横にめぐらされていたことが判ります。
銀座付近も例に漏れずにかつては数多の水路が走り、そしてそれらは、図書館などで見られるような資料だけでなく、文学や映画のなかの舞台となっており、現代のわたしたちにもおおよその姿を捉えることに役立っております。
三島由紀夫の名短編「橋づくし」は新橋の花柳界の女の子たちが願掛けのために七つの橋を巡ったものがたり。さすが三島の作品とあって、読んでいる方も多いですし、またそれら旧築地川を中心とした、本来の水路に掛かる橋であることを引退し余生を過ごす橋たちを巡り歩いて、文学の舞台となった場所を楽しむ方も多くいらっしゃるようです。
(●東京クリップ「銀座の橋」)
ところで、小説「橋づくし」で女の子たちが巡る橋は、三吉橋、築地橋、入船橋、暁橋、堺橋、そして備前橋の七つ(三吉橋が三叉なのを好いことに、女の子たちはそれをふたつ分とした)なのですが、それらの橋は現在「本来の水路に掛かる橋であることを引退し余生を過ご」しており、首都高速道路上と、その出口前後に掛かる、三吉橋、築地橋、入船橋。
(築地川を埋め立ててできた)築地川公園を横切る道路として、橋柱や欄干をほぼそのままに、残っております暁橋と備前橋。
ところが、橋として、その姿を確認し辛いものがひとつだけございます。「橋づくし」では六番目に現れます「堺橋」です。
ところが、この堺橋も、ふたつの橋柱の跡が残っているのです。
堺橋は、築地川そのものに架かっていたのではなく、そこから直角に東へ流れ出る地元の堀で、明石堀とも云われた水路(参考:「川の地図辞典 江戸・東京/23区編 菅原健二著 之潮刊)に架かっていたようでして、現在ではその水路を埋め立て、あかつき公園が設けられております。
堺橋は、築地川から明石堀へはいってすぐ、築地警察や聖路加前からくる道路上に架かっていたと思われ、その(おそらく築地川側の)橋柱が、現築地川公園の敷地内、それも道路と隔てる植え込みのなかに、ひっそりと佇んでいるのでした。
●現在の付近図
(↑ クリックで地図サイトへ)
●推定図

●現在の堺橋・橋柱(上=南詰側、下=北詰側)
(二点の写真は、クリックで拡大します)
・平成二十年初夏のころ撮影
・三島由紀夫の「橋づくし」は、『花ざかりの森・憂国—自選短編集』 (新潮文庫) に所収されております。
posted by mniijima : Dec 14, 2010
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comments
堺橋は、江戸時代の地図にも載っている古い橋なのに、その場所が分からず残念と思っていましたが、茂みの中に痕跡が残っていたとは気づきませんでした。いつもながらの丁寧な説明ありがとうございます。
by じんた堂 : December 14, 2010 9:49 AM
じんた堂さん、
ご丁寧にコメントをお寄せいただきまして、ありがとうございました。当方のお節介にもかかわらず、寛容に受け止めてくださり、心を温かくしております。
実は、わたくしも7つの橋を巡って歩いたのですが、堺橋だけは簡単に見つからず、あかつき公園のなかをウロウロしたりしたのでした。
橋柱は道路側から発見し、公園内に戻り、イミテーションの水路を迂回するように茂みのなかまで入り込んで(本文中には記し忘れましたが)、橋柱側面に記された「さかいばし」という表記を確認したのでした。
by M.Niijima : December 14, 2010 2:34 PM
以前、タイムドーム明石でみつけた『中央区の橋・橋詰広場』という本が手元にあるのですが、載っている地図とNiijimaさんが作成なさった図は同じでした。
本には側面の図面も載っているのですが、「桁橋には珍しい中路橋」だったのだそうです。中路とは、上を歩く桁橋とトラスの間のようなもの(非常に大雑把ですが)と思われるのでした。
by brary : December 14, 2010 7:41 PM
braryさん、
お手元の資料を繙いてくださったのですね。懇切なご教示に感謝いたします。
> 「桁橋には珍しい中路橋」
ああ、斯様な珍しい構造の橋であったならば、是非現役のころを見て、足で渡ってみたかったです。
「中央区の橋・橋詰広場」はタイムドームへ行って、手に入れようと思います。
by M.Niijima : December 14, 2010 10:19 PM
