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ピアニストがたったひとりで作り上げる、ソロというかたちの音楽が如何ほどの負担をその演奏家に課しているのか、玄人として、聴衆を前にしたときのプレッシャーは想像を超えるものが在ることでしょう。
ブルックリン在住のジャズ・ピアニスト、白崎彩子さんのことは、このブログでも何度か記させていただきましたが(ここと、ここ)、わたくしが常に畏敬の念を抱いてやまない彼女のソロ・ピアノ、然もライブ録音によるアルバムが(輸入盤として)国内リリースされております。
白崎さんは2009年の3月に第1回「International Jazz Solo Piano Festival」というイベントに他の米国人ピアニストらとともに招聘され、ミュンヘン、ハンブルグ、ベルリンとドイツ主要都市でコンサートを行ないました。そのときの耳のよいドイツの聴衆による喝采をバネに、同年10月、これは単身で渡独、北部都市を中心にコンサート・ツアーを成功させております。
今回リリースされた音源は、そのツアーのハイライトでありました、ハンブルグでのライブを収録したものとの由。
continue reading "その対旋律の現出は前人にして未踏の境地でありましょう"
11:59 PM permalink | jazz | comments (4) | trackbacks (0)
牧神の午後への前奏曲は、草いきれのような強い芳気を放ったのでしょうか。
前回、記しましたように10月7日の木曜日に、東京・千駄ヶ谷の津田塾大学校内にございます、津田ホールにて行なわれました、ピアノ・デュオ「ドゥオール」のリサイタル2010へと行って参りました。
「ピアノ・デュオ ドゥオール リサイタル2010」
ピアノ・デュオ ドゥオール=藤井隆史、白水芳枝
演目:
●ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(2台ピアノ版)
●リスト:「ドン・ジョバンニ」の回想(2台ピアノ)
〜休憩〜
●ブラームス:交響曲第一番ハ短調作品68(4手連弾版)
■アンコール:ブラームス:ハンガリー舞曲第一番(4手連弾版)
ショパン:幻想即興曲(M. グールド、B. シェフター編曲による2台ピアノ版)
continue reading "黒から白へ至る墨絵のごとき響き"
1:50 AM permalink | classical music | comments (2) | trackbacks (0)
夕刊には、月に二度ほど楽しみにしているコラムが載っていたので、思わず食後に金宮の安焼酎に氷を加えたものを拵えてしまったのでした。
グラスをからんころんと鳴らしながらコラムを読めば、随分以前に人口に膾炙したと思われる、虫の鳴き声を日本人は楽音として聞くが、西洋人は雑音として聞くという脳の受け取り方の説を挙げ、日本の短歌、童謡などに比して、西洋の文学や音楽に虫がほとんど登場しないことを明らかにしておりました。そしてアポリネールが「動物詩集」のなかでようやっと象から、けむし、はえ、のみなどをも対象にしたことを紹介するのですが、そのテキストに音楽(歌曲)をつけたプーランクは、ざりがにまでは音楽に拵えたが、毛虫には至っていないことを残念がり、もしプーランクが虫をも取り上げていたら如何なる音楽になっただろうかという興味への想像を誘う文章でございました。
よく西洋音楽の和音を表すのに色彩的な感覚を当てることがございます。わたくしも音が音だけの縦横のフォルムと響きによって構築された古典派までの音楽に比して、浪漫派以降の音楽を解するのに、その色彩による表しはよく理解することができます。また某有名音楽振興会にて教育を受け、絶対音感を身につけた輩からは、音程、音階から色をイメージすると、よく聞かされたものです。
それらに加え、ある種の西洋音楽の中には香気、臭気、芳気といったものを感じさせる響きもあるのではないでしょうか?
例えばドビュッシーが拵えた管弦楽曲「牧神の午後への前奏曲」などからは夏の水辺からたつ強い草いきれのような臭気、香気を感じずにはいられません。もちろんこの曲をドビュッシーが拵えたとき、マラルメの詩が基にあったことは存じ上げたうえで、その詩が発信する世界を受けてのことではございますが。
明日10月7日、ピアノ・デュオ「ドゥオール」のおふたり、藤井隆史さんと、白水芳枝さんが、この著名な管弦楽曲の(作曲者による自編曲の)2台ピアノ版を東京・千駄ヶ谷の津田ホールにて披露してくださるとのこと。おふたりの栄えあるリサイタルに伺って参ります。
おふたりの演奏からは如何なる芳気がたち昇ってくることでしょうか。甚だ楽しみでしかたありません。
外からは、じぃじぃじぃ、ひひひひひ、などと虫たちが楽音を奏でる秋の夜更け。おやすみなさい。
11:59 PM permalink | classical music | comments (2) | trackbacks (0)