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April 2, 2010

  サンレモから届いた一輪の華

2回ほど続けたメキシコ(音楽)から、きょうはイタリアへ飛んでみましょうか。
イタリアの民俗歌謡(?)といってよいのかもしれません、カンツォーネってほとんど馴染みがございませんでした。ところが先日、あるところでNilla Pizziという歌手の音源を聴く機会がございまして、これが素晴らしくて甚く気に入ってしまったのでした。
英語のwikiが寂しい状態ですが(ちなみに、わたくしには無理なのですが伊太利亜語が解るかたはこちらへ)、SPの時代、1944年に初めてのレコードが出てから、50年代、60年代が活動の中心で、現在に至っても芸能活動をしていらっしゃるようです。そのキャリアのなかで燦然と輝くのが第1回サンレモ音楽祭(1951)の優勝という栄誉のようです。
わたくしは彼女の50年代の音源を(LPで)聴いたのですが、その後中古レコードで探してもまったく見つからず、再発されているCD(たいていはベスト盤的なもの)にもお目当ての楽曲がございませんでした。そこでiTunes Storeから(著作隣接権が切れた音源を利用してリリースされた=これは合法です)、ベスト・アルバムを購入したのでした。

ところが! このアルバムはなんとモノ音源を擬似的にステレオ化したものでした。一時こういう手法が出回った時代があるのですが、基本的にモノの音源は決して(本来的な意味で)ステレオにはできないものなのです(だから疑似なのですが)。
ステレオは右と左のスピーカーがあって再生されるために、右の(スピーカーで出すための)音源と、左の(同様)音源のふたつの情報が必要なのです。モノはひとつだけ(あるいは全く同一のふたつの情報)です。
そこでモノのオリジナルを左右のどちらか片方に置いて、もう片方は元のモノ音源の位相をずらしたものを置く。簡単に言えば、オリジナル音源から若干(20ミリ秒以下かなぁ)遅らせた同じ音源を、片方に置くことで人間の耳には(遅れはほとんど気にならず)左右に広がったように聴こえるのです。これが疑似ステレオのもっとも簡単な作り方です(最近はパソコンで音源を扱えますから周波数帯域ごとに位相差を変化させるソフトなんて開発可能、もしくは存在する、かもしれませんね)。
ところでこのような疑似ステレオ化されますと、わたくしには気持ち悪くて気持ち悪くてたまらないのです。
そこで自分でRE-RE-Masteringをしてしまいました。単純に左と右の音源をミックスしてしまいますと、位相差があるので打ち消し合う音がでてきてしまいます。そこで、まず疑似ステレオ化された商品音源を左右別々に聴いてゆき、状態がよさそうな方のトラックを各々の曲で選択、メモをとってゆきます。iTunesで購入した音源ですからAACの圧縮音源、これを作業のためにwavファイルに変換します(wavは非圧縮データですが、ここで音そのものの情報が増えるわけではございません。あくまでも作業のためのファイル変換です)。そして各曲、メモに沿って片方のトラックを削除し、モノ・データにしてしまいます。
そして各曲ごと(ふにゃふにゃな元音源に気合いを入れるごとく)イコライザやコンプレッサー処理を施して、各曲の聴感レベルを揃えて、、、と。

ふう、音楽性を顧みない、まったく無粋なことをしてくれるものです。Nilla Pizziの音楽性を記すまで、だいぶ文字を割いてしまいました。
ところで、まだまだわたくしはカンツォーネ初心者なのですが、どうやらこのジャンル、オリジナルの譜面(メロディ)に書かれたものから、即興的に軽い装飾音符をいれてゆくような気がします。ですから歌手によって、同じ曲を歌っても解釈の差で装飾が違ってくるのではないでしょうか? ジャズのフェイクほど派手なものではないものの、音符に付いた細やかな装飾に秘められた美しさがあるような気がしてなりません。
私的にはサンレモ優勝曲「Grazie Dei Fiori」や、ヒット曲「Vola Colomba」もそれぞれ宜しいのですが、「Buongiorno Tristeza」に痺れます。いい曲のいい表現、Nilla Pizziが為した偉大な音楽の魅力が、きちんと正しく、後世に伝わってゆくことを願ってやみません。


残念ながら「Buongiorno Tristeza」を歌うクリップが見当たりませんので「Grazie Dei Fiori」をお聴きください。
Pizzi Nilla Grazie dei fiori

posted by mniijima : Apr 2, 2010

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comments

私がまだ学生だった頃 日本の歌手もチャレンジしていました。
ジリオラ・チンクエッティの時代です。
懐かしいなあ〜。

それにしても M.Niijimaさんのように耳が良いのも大変なのですね。
そんな難しい事がおできになるから良いですが。
もし私がそんな耳だったら・・・・・気持ちが悪くて 二度と聞けなくなるんですものね。

by 光代 : April 3, 2010 11:13 PM

光代さん、
いつもコメントをありがとうございます。お返事が遅くなりまして失礼をいたしました。

ところで、ジリオラ・チンクエッティのことを存じ上げませんでした。とても聴いてみたいです。日本盤のシングルなどが手に入りそうな気が致しますので、そうすれば、これもまたナインティーンシックスティーズのシリーズになりますね。

> 日本の歌手もチャレンジ

伊東ゆかりさんはカンツォーネを歌い、そしてサンレモにも出演したとか。
かつては日本にも世界歌謡祭のようなイベントがございましたね。もう流行らないでしょうが、様々な国のポピュラー歌手を一時に知ることが出来る有意義なイベントだと思うのですけれどね。

疑似ステレオの気持ち悪さは、けっこう普通の人でも感じるのではないでしょうか? ですから、こういう音源を入手してしまうと(普通は修正できませんから)音楽が歪められて伝わることになるのでしょう。悲しいことです。

季節の変わり目、どうかお身体お気をつけくださいませ。

by M.Niijima : April 5, 2010 1:00 AM

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