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April 5, 2010
イタリア映画と云えば、フェデリコ・フェリーニのことを思い出す人が多いと思います。そのフェリーニの代表作「8 1/2」は、創作活動における自身の姿をだぶらせ、クランクインが迫るのにまったくアイデアが浮かばない映画監督を描きながら、実際の映画は完璧なアート・フィルムとなった希有な作品。
其処には1960年代に映画を作るということはどういうことなのか、人を愛するということはどういうことなのか、自分とは何者なのか、そういった哲学的なメッセージが彼方此方に散りばめられていたように思えます。
その「8 1/2」をベースにスクリプトが書かれたミュージカル「NINE」の映画版を見て参りました。
監督は、これもミュージカルの映画化を為した「CICAGO」のロブ・マーシャル、グイド・コンティーニにダニエル・デイ・ルイス、その他豪華女優陣。

映画「NINE」Official Site
(アクセスしますと、まずはトレーラーを読み込み再生が始まります。そしてENTER THE SITEをクリックした後はサウンドトラックが再生されますが、12曲、いづれもフルコーラス聴くことができます。)
ミュージカルの映画版ですから、ゴージャスなショウ・シーンに魅力たっぷりの歌がこれでもかと溢れておりました。
ところで、あちらの役者さんって歌が巧いです。「CICAGO」でもヴェルマ役を担ったキャサリン・ゼタ=ジョーンズの豪快な歌いっぷりには仰天したものでしたが、彼女は子役から下積みの時代に随分とミュージカルに出演していたようですから、歌と踊りのレッスンにはかなりのことを費やしていたのでしょう。決して俄仕込みのものではなかったことは一目(聴)瞭然の素晴らしいものでした。
「NINE」ではグイドの妻ルイザを演じるマリオン・コティヤール。たいへんミュージカルらしいナンバー「My Husband Makes Movies」をあまり情感を込めずにあっさりと歌ったかと思えば、グイドに絶望し三行半を突きつけた後の「Take It All」での激情。すごいギャップによって「役にはいる」ということを意識させられます。
愛人カルラは、ペネロペ・クルス。こういうのを小悪魔と云うのでしょうが「A Call From The Vatican」の誘惑は、大悪魔と呼んでしまいたい。
また、歌唱技術としてはちょっと落ちるのですが、それでも役者としてのディクション、それを表現する力、年齢的な深さが相まって御大ソフィア・ローレンのママとしての歌「Guarda La Luna」も素晴らしいナンバーになったと思います。
また、グイドの良き理解者である衣装デザイナー、リリーを務めるジュディ・デンチはゴージャスなパリのレビュー小屋をイメージしたナンバー「Folies Bergere」を担いますが、その歌いぶりは其処(レビュー小屋)で40年勤め上げてきましたと云えるのではないかと思えるほど堂に入ったものでした。
そして1960年代にフェリーニが「8 1/2」をアート・フィルムに仕立てたように、2010年のこの「NINE」は、「8 1/2」とはまた違う方向性の映画へとなったわけですが、それがこの「Folies Bergere」の歌詩とパフォーマンスに示唆されているように思える重要なナンバー。
さて、美しい女優陣による素晴らしいナンバーに耽溺できるこの映画でも出色の出来となったのは唯一人、音楽界から加わったFergie(We Are The World 25 For Haitiにも参加しておりました。MJによるブリッジ・パート「When you’re down and out, There seems no hope at all」の後、Usher、Celine Dionに続いて「...stand together as one」と歌うサングラスをかけた女の子です)。
彼女が大女のサラギーナを演じるのですが、与えられたナンバーが「Be Italian」。
20名ほどのダンサー全員ユニゾンでのタンバリン。こんな音はいまだかつて聴いたことがございません。ステージもサラギーナが住む砂浜をイメージし、一面に砂が撒かれているのですが、それをタンバリンで掬って、舞わせて、蹴り上げて、視覚聴覚への刺激が甚だしい。Fergieの歌唱はもう云うことがないほどサラギーナのイメージにマッチしておりました(「8 1/2」では存在した哀愁漂うシーンはございませんでしたけれど)。
是非こちらをご覧あれ。
●YouTube:Nine - Be Italian - Fergie (full length music Video)
このナンバーのトラックは映画のミックス・バランスと、サントラ盤でのそれでは若干違うようで、タンバリンのパン、カーンというインパクトは映画のほうが強烈で魅力的でした。サントラ盤は音楽的にたいへんまとまっており、最後の合唱の畳み掛けはこちらが圧巻です。
またサントラ盤全体を通じて、たいへん細かやかなミキシングが為されており、ダイナミクス(音の小さい、大きいの差)のコントロールがたいへん音楽の魅力を引き立てております。
この映画のサウンドトラック盤もお勧めです。
●Amazon(国内盤):映画「NINE」サウンドトラック
●Amazon(US輸入盤):Nine/O.S.T.
●iTunes Store:Nine (Original Motion Picture Soundtrack)
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そして、わたくしはwill.i.amのレーベルからリリースされたFergieのアルバムも買ってしまいました。シングルにもなりました4曲目「London Bridge」が格好いいです。(YouTubeにアップされたオフィシャル・ビデオの画質がひどいので、こちらDailymotionへリンク)
●Amazon(US輸入盤):Fergie / The Dutchess (Deluxe edition)
●iTunes Store:Fergie / The Dutchess Deluxe
(※ポスター画像のCopyright: (C)2009 The Weinstein Company. All Rights Reserved.)
posted by mniijima : Apr 5, 2010
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comments
二十歳の私は その頃の大学紛争より 私自身の問題に溺れそうになっていました。
その時にであったのが「81/2」です。
全編 体中が震えるくらいとんでもなく気持ちの良い衝撃があり、共感があり、見た事も無い外国の随分年上のおじさんの来し方に 自分自身を重ね合わせる事ができました。
それは 私を救ってくれました。
と言う訳で、「81/2」は 私にとって、スタートラインのような映画です。なので、この映画が気になってならないのですが、かえって見に行けないでいました。
このエントリーを読んで 心が動いてきています・・・・・。
by 光代 : April 6, 2010 1:56 PM
光代さんが、フェリーニの「8 1/2」を大切に思っていらっしゃることは以前に窺っておりましたから、このエントリーを光代さんは如何に読まれるかなと思っておりました。
気になりながらも、かえって見に行けないと仰る気持ちはよく解ります。
この「NINE」は「8 1/2」とは別の方向性を模索し、目指すために作られたと考えると気持ちは軽くなるかもしれません。舞台のミュージカル作品が触媒となって、「NINE」と「8 1/2」は向き合っているのかもしれません。シンプルに、そのミュージカルとしての面だけを楽しむのも、ひとつの手なのかもしれませんしね。
まぁ、これは私の感想ですので、他の方が見られたら別の発見があるかもしれません。
もしご覧になられましたら、是非感想を教えてくださいませ。
by M.Niijima : April 6, 2010 10:51 PM