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March 10, 2010
トロンボーン奏者、カーティス・フラーが1959年にSAVOYレーベルよりリリースした「BLUES-ETTE」は、往時におけるジャズ喫茶の定番であったと諸先輩方から教えていただきました。
じんた堂さんのエントリー「SAVOY」で紹介されている盤は90年代に国内の(当時)日本コロムビアから発売されたリイシュー盤。これはなかなかよい処理を経て世に出てきた盤であることを他所から情報を得たことで、俄然興味を覚えたのでした。そしてモノ盤、ステレオ盤を判別する品番情報もじんた堂さんよりいただき、まずはモノ盤でも買ってみようとオークションに入札したのでした。

ところで、SAVOYレーベルの国内での版権は(洋楽盤の常で)様々な国内レコード会社を転々としており、現在はコロムビア・ミュージック・エンタテインメントさんが所持しているようですが、中古レコードを探してみますとCBSソニー盤、日本フォノグラム盤、キングレコード盤、東芝EMI盤(名称は全て当時のもの)などいずれ菖蒲か杜若状態。
わたくしの手元にやってきた盤はSAVOYが米アリスタ・レーベルの傘下にあったときのもののようで、東芝EMI(当時)から発売された国内盤でございます。
上でリンクしています、じんた堂さんのエントリーには日本コロムビア盤のジャケット写真もございますが、左端に黄色いラインがはいっており(所謂、帯ではない)其処に黒文字でオリジナル・ステレオ盤の品番である「ST-13006」が記され、その下に「STEREOPHONIC」とも記されております。
わたくしがオークション上で見た(お目当ての)盤は、黄色いラインが右端に、品番はオリジナル・モノ盤の「MG-12141」その下にステレオフォニックではなく「HIGH FIDELITY」とございました。
ところが、ところがです、無事落札し、送られてきた盤(ジャケットはまさにそのもの)を聴いてみましたら、なんとステレオ盤ではございませんか!
確かに出品者はモノ、ステレオのことに一切触れておりませんでしたから、まるきりわたくしの早合点だったのです。しかもジャケットをよく見ましたらアリスタのレーベル・ロゴの上に「STEREO」と書いてあります(その上には東芝EMIとしての品番が記載)。ああ、この部分がアップで写された商品写真があればよかったのですが、、、まぁこれは出品者さんを責めることはできないですね。
というわけで、ステレオ国内盤を入手してしまったのです。
(よく考えてみましたら、1959年という時代のジャズ録音でステレオ盤が存在している作品のモノ盤はあまり意味がない気がします。理由は長くなるので省きますが、よって今後モノ盤を買うことはなさそうです。)
さてこの名盤、人気に違わぬよい内容でリーダー、Curtis Fullerのよく歌い、柔らかなトロンボーンは心地よいですね。サックスのBenny Golsonのアドリブにはもう少し与えられた小節数のなかで、幾許か起承転結感があるとより良かったのかもしれませんが、彼の奔放さがバンドの中でアクセントとなり飽きさせないアルバムになっているように思えます。Al Harewoodは皮ものより金もので表現するドラマーのようです。そしてそれが絶品。ライド(シンバル)のニュアンス変化で、演奏進行のきっかけや場面転換をこんなにも彩ることができるとは驚きです。
ピアノの名手Tommy Flanaganも多彩な音色の持ち主。くぐもった音から、パキーンと強烈なアタックを持った1音まで、いろいろと手の内の広さを魅せてくれます。その素晴らしいTommyの演奏ですが、こういう表現は録音しにくいのですよ。このアルバムのエンジニアは高名なRudy Van Gelderですが、彼にしてもアンサンブルのなかでこのピアノの処理がうまくいっていないようです。もっと倍音を拾えるとピアノの(アンサンブル内での)和音的支えが効いて良くなったのではないかと思えます。
(追記参照ください。)
もうひとつエンジニアリングで苦言を呈せば、突拍子のないところでのリバーブ(人工的に付加させた残響)の増減(例えばFive Spot After Darkの最後テーマに戻ったところで、一旦薄くなっていたリバーブが再び深く掛けられてくるところなど、アルバム内に数箇所あるのです。)には興を醒まされるところがあってなんだかなぁ、な感じです。
ところが、メディアとしての盤の状態(恐らく国内販売元でカッティングし、プレスされた盤でしょう)はなかなか良く出来ておりまして、国内盤らしい、柔らかで綺麗な音に仕上がって、この音楽とのマッチングがすこぶる良いです。こうなると逆に中音域がブ厚く処理されているであろう、そしてバリバリいっているであろう米国盤も聴いてみたくなったのでした。
追記:wikiを読んでみましたら、エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーのピアノ収録に関して、批判を述べている(海外の)批評家もいるようです。
wiki: ルディ・ヴァン・ゲルダー
posted by mniijima : Mar 10, 2010
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comments
私もまだSAVOYオリジナル盤を見て(聴いて)いないのですが、某中古レコード屋では、オリジナルMG-12141をモノとして表記してありましたので、そのようにお伝えしました。しかし、どうもこれだけでは不十分だったようで・・・思わぬ散在をさせてしまい申し訳なかったです。
ところで、Niijimaさんのアルバムの録音評さすが専門家ですね。RVGのピアノ録音については同じ印象を持ちましたが、リバーブの変化は全く気づきませんでした。いま聴けば、ここをもう少しというのがありますが、トロンボーンとサックスの掛け合いをメインとしたステレオ初期のジャズアルバムとして、不自然さが少なくよく出来ているように思いました。もっともこのアルバムの一番の魅力は、やはり親しみやすいメロディと小気味良いリズムと思いますが・・・。
by じんた堂 : March 11, 2010 12:09 AM
じんた堂さん、
お呼び出しをするようなエントリーをしておきながら、お返事が遅くなりまして、失礼をいたしました。
品番に関する情報は決して間違えておりませんし、散財したなどとは思っておりません。じんた堂さんのお陰でたいへん良い音楽に出会うことができたと喜んでいるくらいですから。
そして仰るとおり、このアルバムに収められた楽曲のメロディの親しみやすさは秀逸ですね。そのメロをベースに、世界観を崩さずアドリブできているCurtis Fullerは見事ですね。
by M.Niijima : March 11, 2010 1:24 PM