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February 10, 2010

  みやこのあくしょいちろくまるまる

慶長の京四条河原には数多の芝居小屋が跋扈していたようです。
いつも特別展だけに出掛けてひしめく人波に這々の体となって帰ってくることになる国立博物館ですが、平常展はすこぶる空いていて、ときには六曲一双の屏風も吾一人のものとなる贅沢。

洛中洛外図・舟木本を目当てに上野の山へ行ってまいりました。(左画像は東京国立博物館・本館内の休憩処。本文内容とは関係ございません)

保存のため公開は年にひと月と限られている作品ですが、ひっそりとした保管庫で眠っているより人前に出て、人々の感嘆などとともに過ごしたほうが似合いだろうと思ったほど賑やかさ。洛中洛外図はいくつか見てきましたが、こんなに享楽的なモチーフをたくさん盛り込んだものは初めてかもしれないという印象を得ました。
東寺の五重塔からの視点で描かれているそうですが、右隻に豊臣家の方広寺大仏殿を置き、左隻に徳川の二条城があり、ともに目を惹く大きさなのですが、洛中洛外図はなんといっても町衆の風俗を見ていくのがおもしろいです。

四条河原には人形浄瑠璃の小屋が二軒並び、音楽だけを奏でているような小屋、阿国かとおもわしき女歌舞伎の小屋まで詳らかに描かれ、寺町通の祇園祭、五条大橋上でもなにやら群衆が踊っています。道辻では男が女に声をかけ、またアルキ巫女らしき傘を翳された姿もあれば、屋内とはいえ背後から女に抱きつく生臭坊主まで。
描かれた京の設定は関ヶ原以降、大坂夏の陣の前ということでしょうが、その時代の都はこのような享楽的な雰囲気だったのでしょうか。まったくタイムスリップして芝居小屋に潜り込んでみたくなりますね。

本館での鑑賞後は別棟の資料館へ赴き、凸版印刷と共同で設営されているミュージアムシアターへ。この舟木本のヴァーチャルリアリティ作品を見にいきました。大画面に拡大された屏風に描かれた民衆。その着物の柄(まで描き込まれていました)まで詳らかな高精細に感嘆の声を漏らしそうになったのでした。

本館での舟木本(屏風)の展示は2月21日まで。
資料館でのVR作品は3月28日までの金・土・日・祝・振替休日に公開。

参考リンク;
東京国立博物館

ミュージアムシアター

wiki /洛中洛外図

さて、この日、本館では2階しか巡ることができなかったのですが、他の気になった作品には以下のものがございました。まったく私的な趣向でのご紹介をお許しください。

・升色紙(伝藤原行成筆、平安期、11世紀)/ 画像
無知なわたくしは、このかなによって書かれたスタイルが連綿体と散らし書きと言うのだと解説文を読んで知るのですが、まったく美しく、この前で10分くらい釘付けになってしまいましたよ。
「いまはゝや こひしなましを あひみむと たのめしことぞ いのちなりける」

そして、舟木本の隣にあった龍虎図屏風。
・龍虎図屏風(曽我直庵、安土桃山〜江戸期、17世紀)
左隻に虎、右隻に龍。虎はかつてみた応挙のものが強い印象を残して脳裏を漂っており、あのインパクトには敵わないと思ったものの、右隻の龍がすごかったのです。険しい山間の黒い雲間からぬっと首を覗かせた恐ろしさ。
ところで、ストロボの使用は禁止されていましたが、写真を撮っていてもうるさいこと言われないこの平常展(いくつかの作品には撮影禁止マークがありましたが)。ここは国の施設で、所蔵物は国民の宝でしょうから、正しくパブリック・ドメインでありましょう。


・北楼及び演劇図巻(菱川師宣、江戸期、17世紀)/ 参考
北楼とはもちろん「廻れば大門の見返り柳いと長けれど」と一葉さんに表された新吉原のことですが、日本堤から衣紋坂、そして大門は描かれているのに、見返り柳の姿が見えませんでした。

これは廓のなか。切見世かしら。
彼方此方から、全員ユニゾンで奏でられる見世清掻が聴こえてくるようです。
平常展にも足を運ぶべきですね。

posted by mniijima : Feb 10, 2010

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