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February 7, 2010

  リマスタリングの功罪(3)

マスタリング作業を済ませた音源は、複製プレスされる工場へ運ばれ、いくつかの工程を経てCDに大量複製されます。

ところで昨今、リマスターとか、リマスタリングといった(処理が行なわれた)盤が市場で販売されているのは周知の通りでございます。
これらは既に一度CDとして発売するためのマスタリング作業を済ませているタイトルを「理由があって」再度マスタリングをしなおし(故にRe-Mastering)、再発売されている商品のことを指しております。

その「理由」とは、多くの場合、これらの商品はCD初期に一度マスタリングをされて商品化されていましたが、その後のデジタル機器の進化を経て、より物理特性のよい条件でマスタリングをしなおし、ユーザーに喜んでいただきたいという願いがあって(再商品化が)行われているのでしょう。

そのような商品であるのに、例えば大手外資系CDショップのウェブ・ページなどでは(とある)リマスター盤は音がよくないなどのユーザーの書き込みをよく目にします。またそれら一部のリマスター商品は中古市場でも価値が低く見られているようで、初期マスタリング盤のほうが高値で売買されているケースも見かけます。
音響特性の良い機材を使ってリマスタリングしたはずなのに、一体全体これはどうしたことなのでしょうか。

どうやらショップのウェブ・ページなどでコメントを残している方々は、過去の同一音源を(LP、もしくは初出CD)を所有していらっしゃるようで、その比較でリマスター盤が良くないと書かれているようです。
これにはいくつかの原因が考えられます。まずはオリジナル・マスターテープが経年で劣化してきているのかもしれません。または何らかの事情でマスターそのものではなく、そのコピーなどからリマスタリングしなくてはならなかったかもしれません。
ところがそういった事情を超えて、リマスタリング作業を行なう制作環境も指摘されなければならないと、わたくしは苦言を述べたくなるのです。

マスタリング(或いはリマスタリング)作業には音色、音量の調整も含まれることは前回記しました。扱うマシンは確かに最新鋭のものになったかもしれませんが、それを制御するのは人間です。特に古い音源は先に挙げましたトラブルの要素も含み、本来ならば丁寧に丁寧に作業を進めたいところですが、コストの問題などから時間をかけて作業ができなかったり、また音楽そのものを機械という道具を通じて音そのもので表現する力量が足りなかったりする場合が多いのではないでしょうか。またそれをジャッジできる人間もそのプロジェクトに存在せずにプロセスが進行しているケースもあるようです。
こういった安易なリマスタリング作業を経てしまうと、音楽そのものに造詣が深いユーザーから不信感を持たれてしまうのは当然のことでありましょう。彼ら、彼女らはダイナミック・レンジやノイズ比のことに言及しているわけではないのです。音楽総体としての印象について指摘しているのです。

posted by mniijima : Feb 7, 2010

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