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January 19, 2010

  カーテンの向こうのビロード(2)

旧東独逸の国営レコード会社でありました、ドイツ・シャルプラッテン(が為した仕事)の素晴らしさを認識したのは英EMIから発売されたリヒャルト・シュトラウスのオペラ「ナクソス島のアリアドネ」、ルドルフ・ケンペ指揮のLPを数年前に入手したときです。
これはシュターツカペレ・ドレスデン(国立歌劇場管弦楽団、当時)と、そのドレスデンの名歌手たちをたっぷりと起用し、プリマドンナに西側から絶世の美声を誇ったグンドラ・ヤノヴィッツを招聘し録音された、発売当時から(CDでも発売されていますが)超有名な盤でした。ところがわたくしは斯様な誉れ高い名盤ではありますが、発売元が英EMIということで、録音の質はあまり期待しておりませんでした。


そのころ各レコード会社(のクラシック音楽制作部門)は固有のサウンド・ポリシーを持ち、各々の録音テクニックでもって現場の制作にあたっておりました。そして一部のレーベル、具体的には英国のデッカとドイツ・グラモフォンは、1950年代初頭にはモノラルの収録テクニックが完成され、50年代中頃からテストが開始されましたステレオ録音におきましても1958年に市場に作品が出るまでには、収録に関しては既に完成の域に達しておりました。
英EMIも独自の収録テクニックでもって、豪華アーティスト陣の録音物をたくさんリリースしておりましたが、音楽的な意味でのサウンドに少々魅力が足りなかったように思えます。具体的には定位の真ん中が薄く、奥行き感に乏しいといったところでしょうか。
ところで、そのEMIから発売されたルドルフ・ケンペ指揮の「ナクソス島のアリアドネ」は1968年の作品ですが、聴いてみますとこれがとても素晴らしいサウンドなのです。収録場所に関する記述は商品の何処にもないのですが、聴こえてくる豊かな残響からおそらくはドレスデンのルカ教会だと判断できます。とは言え、その録音場所の質の高さからだけでは成し得ないクオリティのサウンドなのです。
そこでジャケット(というかボックス)をよく見てみますと、小さな文字で

  Recorded in association with V.E.B. Deutsche Schallplatten, Berlin.

とあるではないですか。すなわち、このEMIから発売されたレコードの収録はドイツ・シャルプラッテンの協力によった、ということです。言い換えれば収録はシャルプラッテンの技術スタッフが行なっていたということです。
なるほどと合点がいきました。そしてこの美しいレコードとの出会いが、わたくしを過去の音源に関してはなるべくLPで揃えてゆきたいと思わせたきっかけになったのでした。

このケンペ指揮の「ナクソス島のアリアドネ」、現在入手できるCDは「この」限定廉価盤のみのようです。果 た し て こ の CD は オ リ ジ ナ ル LP の よ う な 美 し い サ ウ ン ド を 聴 く こ と が で き る の で し ょ う か ね ?


posted by mniijima : Jan 19, 2010

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