« 今がそのとき(1) | main | 今がそのとき(3) »
November 12, 2009
何故、彼はそこまで激しく踊る必要があったのでしょうか?
(以下、ネタバレ注意)
映画「This Is It」の終盤、マイケル・ジャクソンは彼の大ヒット曲「Billie Jean」(もちろんこれもリハーサル)でずいぶんと熱いダンスを披露しておりました。彼のダンスは他の楽曲においても鋭いキレを誇っておりまして、年齢に見合わない素晴らしいものでした。ゴシップばかりが目につくスーパースターではありましたが、超一流のエンターテイナーとして(の自身を維持するため)エクササイズを欠かさなかったのではないか、あるいは徹底的なリハビリを行なったのではないかと想像いたします。
さて「Billie Jean」でのマイケルはソロで踊っておりました。そしてそれはかなり即興的なダンスであったかもしれません。コリオグラフの観点から見れば荒削りなものでした。しかし故に彼の熱さが伝わってくるのです。オーディションで選ばれたバック・ダンサーたちはアリーナからその姿を見ていたのですが、彼の熱いダンスにすっかり興奮させられた様子が窺えました。
このシーンを見て、ふと思ったのですが、マイケルは示したかったのではないか、ということ。
別のシーンで、スタッフ、キャスト全員が輪になり、手をつないで、このコンサート・プロダクションの成功へ向けてのミーティング(?)を行なっていたときにマイケルは次のような意味のことを言ったのです。ファンを、日常とは異なる世界へ連れてゆき、今まで見たことのないものを見せてあげたい、と。それはすなわち、今まで行なわれたことのないような至高のコンサート・エンタテインメントにしたいということでありましょう。そしてそれを為すためには、其処にいる人がひとりひとり最高最大の力を発揮しなければ達成できないということ、そのことを認識してもらうために熱いダンスを皆に示したのではないでしょうか。
言葉では何とでも言えることでしょうが、彼が踊ることで説得力はより大きくなり皆に伝わったのではなかったでしょうか。まったく興味深いシーンでございました。
さて映画では、いや本来ならば行なわれようとしていたコンサートでは、あるメッセージが発信されようとしておりました。わたくしがマイケル・ジャクソンの音楽に興味を失っておりました95年、彼は「Earth Song」という楽曲をリリースしていたようです。タイトルからも明確ですが地球のことを歌ったものです。
彼は地球を乱開発から守りたいと考えていたようです。
前述の輪になってのとき、マイケルはさらにこのようにも言っておりました。地球を守るには今始めなければならないと、今がそのときであると、This Is Itであると。
そして4年で世界を変えたいとも発言しておりました。4年とはどういうことなのでしょうか?
これまた私的な想像ですが、彼はこの世界最高のコンサート・プロダクションをもって、ロンドンでの50公演の後、ワールド・ツアーをしようと考えていたのではないでしょうか。地球を開発から守りたいというメッセージを伴ったコンサートを世界中で開いて、世界中のファンに訴えかけ、そして一人一人に認識してもらい行動してもらう。それを4年かけて行うことを望んでいたのではないかと思ったのです。
彼が亡くなり、コンサートも、ワールド・ツアーも泡沫の如く消えてしまいましたが、コンサートの演出家であり、この映画の監督でもありますケニー・オルテガはおそらくマイケルの真意をもっとも汲み、彼の意思を継ごうとこの「This Is It」を作ったのではないかと思うのです。映画のエンド・クレジットが終わってから挿入されました、ステージでの「Earth Song」の背景で使用される予定でありました別撮りのショート・フィルムに出演していた可愛いらしい女の子がバスケットボール大の地球に頬擦りをし「Heal The World」(Heal The Worldはアルバム「Dangerous」に収録された楽曲名でもあります。)とキャプションが入れられた、映像的にはまったく恰好悪いカット、映画演出上不要と思われるこのカットが何故必要とされたのかを考えますと、そこにはやはりマイケル・ジャクソンの意思の継承を強く感じたのでした。
(続く)
posted by mniijima : Nov 12, 2009
trackback
trackback URL for this entry:
http://www.mniijima.com/across/cgi/mt/mt-tb.cgi/374
comments
ネタばれコメントになっちゃいます。
ごめんなさい。
*************
後半部分ですが 私も同様に感じていました。
昨日 友人が 10月24日の朝日新聞のコピーをくれました。
オルテガのインタヴューです。
マイケル・ジャクソンはコンサートでどんな世界を作ろうとしていたのかという問いに・・・
「ショーの中のショーをつくろうとした。人々の度肝を抜き、愉快にし、興奮させ、しかも挑発する。人間として地球への責任を負っていることを意識させる。とても壮大なコンセプトだ。」と答えています。
エンドロールも終わった後に 女の子のシーンが加えられているのは、NIijimaさんのおっしゃる通り、まさしくオルテガのメッセージなのだと思います。
私は 今、自分を磨く事の大切さを改めて思うと同時に、困難さに呆然としています。
by 光代 : November 13, 2009 7:01 AM
話に引き込まれる。
そして、見たくなってくる。
カミさんはTVCM見て見に行きたいと行っていましたが、私はどうせリハを撮っていたのを適当に纏めたものでしょう?って乗り気ではありませんでした。
けど...。
by やっ : November 13, 2009 10:34 AM
光代さん、
まずはこの映画を勧めてくださり、ありがとうございました。
そしてご丁寧にコメントをお寄せいただき、かつオルテガ氏の発言内容をお伝えいただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
光代さんが仰るとおり、彼のリーダーとしての在り方は素晴らしく、そこから学ぶことは多いと思います。
この映画は、言葉で如何に書こうとも、脚本を追うドラマとは違って、それを超えて楽しめるものであると思います。光代さんや、わたくしの見方以外にも、人によってそれぞれ感じるポイントが潜んでいるように思えます。
ネタバレとして光代さんよりお寄せいただいたコメントも映画への興味を増す内容だと思います。
by M.Niijima : November 13, 2009 6:49 PM
やっさん、
この映画、2時間弱の尺があるのですが、ステージ・シーンを中心にまったくダレずに一気に楽しめますよ。お勧めします!
by M.Niijima : November 13, 2009 6:57 PM