« 2009年06月 | main | 2009年08月 »

July 28, 2009
  わたしを惑わす不気味な月よ、今宵だけはあの方の行かれる先を優しく照らしてあげてください。(4)

惜しまれて逝去されました若杉弘氏。氏への追悼文が梅津時比古さんの筆で新聞に掲載されておりました。

若杉弘さんを悼む:先駆的だった演出、読み直しの音楽


3:33 AM permalink | classical music | news/時事 | comments (0) | trackbacks (0)

July 23, 2009
  わたしを惑わす不気味な月よ、今宵だけはあの方の行かれる先を優しく照らしてあげてください。(3)

オペラ「ヴォツェック」の思い出。なんとわたくしが初めて生で舞台を見たオペラ作品はイタリアものでも、モーツァルトでもなく、この「ヴォツェック」だったのでした。
1985年10月のこと。東京文化会館での二期会公演。オケは東京都響だったかしら。指揮は若杉弘氏でした。

7月21日にその若杉氏がご逝去されたと訃報を知ったのは翌22日の朝刊でのこと。

85年ごろの若杉氏は、旧東ドイツ、ドレスデン国立歌劇場と、その管弦楽団(所謂シュターツカペレ・ドレスデン)の常任指揮者になっており、あの伝統あるドレスデンとは! と、ヒーロー視したものでした。
昨今では新国立劇場の音楽監督に着任されており上記リンク先(訃報記事)にもございますように、この国でのオペラ開催に多大なる功績を残された方。

ああ、この秋にはその新国立で「ヴォツェック」を振る予定だったのですね。

昨晩(22日)は(若杉氏の音源がないため)かつて上越道でわたくしを幻惑させました「ヴォツェック」の盤をかけて若杉氏の死を悼んでおりました。

11:59 PM permalink | classical music | comments (0) | trackbacks (0)

  わたしを惑わす不気味な月よ、今宵だけはあの方の行かれる先を優しく照らしてあげてください。(2)

不気味な月で思い出したのは、もう15年程昔のこと。わたくしはある仕事のために軽井沢へ、自ら運転して向かっていたときのこと。
関越自動車道から藤岡で分岐し、通行できるようになったばかりの上越自動車道。深夜の移動でしたから、前後に他の車はまったく無く、ひとり、一台で走っていたのでした。
わたくしの行く真ん前に昇ったまん丸の月。周囲に光は無く、わたくしはその月に向かって飛び込んでゆくような錯覚に陥ったのでした。

berg090722.jpgそのとき、車内でかけていたCDは20世紀オペラの最高傑作と云われております、アルバン・ベルク作曲、「ヴォツェック」。
この車内の音楽の効果がいとも甚だしく、なんとも不気味な瞬間を味わったのでした。


(左の写真のアルバムがそのとき聴いておりました、
クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮
ウィーン・フィルハーモニー
による「ヴォツェック」全曲盤(1979録音)。
- シェーンベルクのモノドラマ「期待」を併録 -


奥にあるのは同じコンビによる ベルクの「ルル」(1976録音)。)


12:25 PM permalink | classical music | essay | comments (0) | trackbacks (0)

  わたしを惑わす不気味な月よ、今宵だけはあの方の行かれる先を優しく照らしてあげてください。(1)

日食の日、生憎東京は厚い雲に覆われて残念なことになりましたが、18日、土曜、いや日付はもう替わっておりまして19日の深夜のことでした。東の空に浮かんだ月のなんとも不気味でしたこと。
もうすぐに昇ってくるでしょう陽の光をわずかに浴びているのでしょうか、月の欠けた部分も薄らと認識できるようでしたが、光を直接浴びてわたくしたちに反射している三日月部分の煌煌とした怪しげなその明るさ、そしてその格好。

それは、明明後日、俺は俺のこの嫌らしい口を照らすおまえを喰ってやる、とばかりに薄ら笑いを浮かべているように見えたものでした。

12:02 AM permalink | news/時事 | comments (0) | trackbacks (0)

July 22, 2009
  撫で、擦り、引っ掻きあげるから、わたくしを掻きむしる。(3)

1楽章開始直後を意外にも淡々と奏で始めた庄司紗矢香さん。段々と情感を高めてゆきながら撫でるようなソットヴォーチェで次の楽想へ、ときおりむせび泣くような低音が混じり聴いているわたくしの気分を嫌でも高揚させます。

7月10日に衛星放送でオンエアされました「N響演奏会ー第1649回定期公演ー」から、プロコフィエフ作曲 ヴァイオリン協奏曲第1番。
ソリストの庄司紗矢香さんは、細い肩が露な黒地に桜花と舞う花弁が描かれ(刺繍なのかどうか、画面では判らず)、裾は踝までのため可憐なアジアンの印象を強く醸し出すドレスを召していらっしゃいました。

2楽章、チョン・キョン=ファさんの演奏では左手のポルタメントが印象的でありましたエスニック(?)なパート。ここで庄司さんの右手はきつく弦を擦り、なんともお下劣な音色を奏でるのです。Brava! もちろん行ったことはないのですが、まるでカザフスタンの安料理屋で繰り広げられる民俗舞踏ショーのような(中央アジアは弦楽器の宝庫!)世界観を想起させ興趣に尽きません。その後のパートでの洗練された音色の速いフレーズと舞踏ショーを引きずった音色が交互に飛んできます。グッガッガッガと刻むこれまたお下劣はアップ・ボウで引っ掻きあげられます。
そして3楽章、ファゴットの軽妙なフレーズに導かれての美しい主旋律。そして次のウンチャチャチャとリズムを刻むところ、一度オケ全強奏に流れを渡した後の2回目、1度目に比してスタッカート度を増していまして指揮のノット氏に軽く微笑む庄司さんも楽しそう。

残念なことにNHKの放送はソロの音量が甚だ大きく(悪しきマニュアル、または徒弟か伝統か)、このような楽曲ではオケとの協奏感が気弱になってしまいます。だいたいからしてこのウンチャチャチャ・パートはオケの弦楽が主旋律を奏でているのですが、ソロの音量のおかげで耳は(頭は)自然な(ヴァイオリンからオケへの流れの)切り替えを行なうことができません。
一般的視聴者は、このようなバランスを聴いてしまうと、オケや指揮者は何をやっているのだ、ということになってしまうのですから視聴者への「伝わりかた」というものをもっと考えなくてはいけませんねぇ。昭和歌謡曲ならよいのですけれど...

豊かな音色のヴァリエーションと、この放送局による音楽的アンバランスのおかげでヴァイオリンが何をしているのか、その詳細をとくと聴くことができましたのは音楽にとっては甚だ皮肉なことでありましたが、全ての音に意思が籠められていることを強く認識できる演奏は終始わたくしの心を掻きむしっておりました。
終盤はハープのアルペジオが美しく和声感を支え木管の受け継ぎを背景に、よく歌い、よく泣いてくれた庄司紗矢香さんの名演でございました。

11:22 PM permalink | classical music | comments (0) | trackbacks (0)

July 19, 2009
  撫で、擦り、引っ掻きあげるから、わたくしを掻きむしる。(2)

チョン・キョン=ファさんが弾くプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲のレコードを実家から連れて帰り、それをiPodにトランスファーし1週間ほど通勤の車中で聴きまくったのはもちろん理由があってのこと。

6月1日に東京・初台のオペラシティで聴きましたMusic Tomorrow 2009のなかから、庄司紗矢香さんがソリストを務めましたリゲティ作曲の協奏曲をオンエアした6月28日の放送(N響アワー)を見ましたら、同月6日のN響定期演奏会に再登場した庄司さんソロによりますプロコフィエフの協奏曲も併せてプログラムされていたのです。
放送はリゲティの全楽章を紹介した後、庄司さんの個展(「かたち在るものが立ち昇る楽器の響き(1)(2)(3)」)のことにも触れたインタビューを挟んだため、もう残り時間は少なく、プロコの演奏は第3楽章しか使われなかったのです。
ところがその楽章の演奏がなんとも素晴らしく、名演と呼んでも差し支えないのではないか、そんな思いがしまして、それではあのチョン・キョン=ファの演奏はどうであったのか、確認するためにレコードを実家に取りに帰ったのでした。

そして庄司さんの演奏を3楽章だけではなく、どうしても全曲を通して聴きたいと希求する気持ちも生まれたのでした。調べますとこの日の定期演奏会全ての模様が7月10日の衛星放送でオンエアされるとのことでしたので職場の同僚に頼んで録画してもらったのでした。

2:45 AM permalink | classical music | comments (0) | trackbacks (0)

July 18, 2009
  撫で、擦り、引っ掻きあげるから、わたくしを掻きむしる。(1)

急遽このレコードを実家に取りに帰ったのは今月はじめのこと。実家と云いましても、歩いて30分かからないのですから、たいしたことではないのですけれどね。

kyung-wha090717.jpg

プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲 第1番&第2番
チョン・キョン=ファ (Violin)
A, プレヴィン指揮 / ロンドン交響楽団

このレコードのソリスト、チョン・キョン=ファさんは、クラシック音楽の世界で韓国から登場した初めての国際的スターでありましょう。彼女の姉、チェリストのミュン=ファさん、そしてピアニストで指揮者の弟、ミュン=フンさん(今や彼のほうが高名か)とともに室内楽トリオもやっていらっしゃる。
それにしてもこのプロコフィエフの協奏曲第1番での激烈な演奏はほんとうに素晴らしいです。往年のヴィルトゥオーゾ、シゲティやオイストラフがこの曲をどのように演奏したのかわたくしは知りませんが、彼女の弾く速いテンポの中から迸る強さ、激しさは、プレヴィン、ロンドン響の好サポートを得ながら、聴き手でありますわたくしのアドレナリン分泌を著しく促すのでした。
殊に2楽章の細かく速い、そして高域を中心とした開始部分から、中低音を主に舞踏のリズムを背景に移ったところ、細かなポルタメントを交えたエスニックな旋律が印象的なパートの左手の細やかな動き、そしてそれを維持したまま再び次の急速なパートへ戻る直前にかけられた軽く一瞬のアッチェレランド! 最高のテクニックが、上手いオケとの協奏によりましてさらに音楽が高められているようです。

レコードは1975年録音、オリジナルは英デッカ・レーベルのもので録音優秀です。わたくしの国内盤LPはプチプチ・ノイズが大きくなってきてしまいましたので、是非とも状態のよい英国盤が欲しいところ(CDでないところが、、、)ですがチョン・キョン=ファ作品のレコードは意外にも高額なので手が出にくいところです。

(最近のCDにはストラヴィンスキーの協奏曲もカップリングされているようです。→junp to HMV

11:59 PM permalink | classical music | comments (0) | trackbacks (0)

July 13, 2009
  ワタクシハ広東語モ北京語モシャベレナイ

まさか終日、香港の人(2名)の通訳をせねばならなくなるとは予定外のこと。明日も終電間際まで日本語をしゃべれない香港の人(2名)と、広東語も北京語も英語もしゃべれない日本の人(2名)の間でオロオロするのでしょう。
例年のことならば、今夜から佃島では、なのに。
最終日には行けるでしょうか。


FENDER RHODESがシーンを席巻する少し前、リチャード・カーペンターらに愛されたWurlitzer 200Aもなかなかな人気者だったのでした。

wurlitzer090709.jpg

米国製の楽器ですが(Wurlitzer社そのものは独逸かな?)、ウーリッツァーという語の響き、広東省で愛飲されているアルコール度数の高いお酒と云われれば今夜は信じてしまいそうな気配。


11:59 PM permalink | murmur | comments (0) | trackbacks (0)

July 8, 2009
  80年代型清涼飲料系サウンド

蒸し暑いので爽やかな音楽を聴きたく、こんなものを探してみました。

EARL KLUGH - Dance With Me

懐かしいアール・クルーの楽曲。演奏シーンを収めた動画が見当たらないのが残念でしたが一服の清涼飲料のように体内にひろがる響き。
彼のアルバムでは1stの「EARL KLUGH」や、ボブ・ジェームスとのコラボ「One on One」のほうが有名かもしれませんが、わたくしはこの曲が収録されています「Finger Painting」が好きなのです。

そして、ジョージ・ベンソンのブリージン。あぁ、心地よい。

ついでにマスカレードも。
これらベンソンの2曲は全米1位となったアルバム「Breezin」に収められていましたね。

そしてこちら、
Grover Washington Jr. - Just The Two Of Us
懐かしいです。
この曲は'80年リリースの「Winelight」に収録されていますが、Bill Withersによるヴォーカルを伴ったこの曲(上記リンク先の動画に登場するヴォーカリストはWithersではなく、Zack Sanderという方のようです。7月9日追記)には、当時ベストセラーとなっておりましたあの人の小説から流行となった語を引っ張ってきたのでしょう、「クリスタルの恋人達」という読むのが恥ずかしくなるような邦題が与えられておりました。

その当時は、ジョージ・ベンソンも、ワシントンJrの曲もそんなに好きではなかったのです。ところが高校の帰りに立ち寄る喫茶店では毎度のようにかかっていましたので身体に染み付いているのでしょうね。ですからこうして30年近く経ってふと思い出し、いいなぁ、なんて思うのです。然もワシントンJrのバックは、ほぼStuffなのですからね。

当時のバンド・サウンドになくてはならなかったFender RHODES

rhodes090707.jpg


10:13 PM permalink | music | comments (2) | trackbacks (0)

July 5, 2009
  トーキョー・ハイドン ウインナ・ソースがけ(2)

放置しっぱなしでありました6月19日の演奏会レビュー。

2曲目のモーツァルト、ピアノ協奏曲に関しましては、オケが積み上げる和音、そのバランスの妙で充実した音色が生まれていたのですが、ピアノがドライすぎて協奏になっていなかった感じが否めません。
休憩の後、再びハイドン。今度は晩年の作で「太鼓連打」の愛称のある103番。この曲も前半の13番同様、躍動感に満ちて素晴らしい演奏でした。
ところで久々の東京文化会館。この日は4階席で聴いていたのですが、ここって、こんなに鳴ったホールでしたかな? 残響感はサントリーホールなどから比して(って全面改装後は訪れていませんが)圧倒的にドライな印象は変わりませんでしたが、音量エネルギーがここまで充実していたかしら、と思ったのでした。単に都響が出す音が(編成に比して)大きかったのでしょうか? 他のオケを同じ4階席で聴いてみたくなりました。

それにしても指揮者ミラン・トゥルコヴィッチ氏はよい響きを作り出します。とても心地よいハイドン。ずうっと聴いていたくなりましたよ。殊に「太鼓連打」の4楽章はお見事で最後の和音の残響が止まぬなかのブラボーに苦笑いをこらえきれませんでしたが納得したのは確かでございました。
終演後、1階ロビーに降りてみますとトゥルコヴィッチ氏指揮による新譜(ウィーン・コンツェルト・フェライン演奏)、ハイドンのいくつかの交響曲を集めた盤が先行発売されておりました。これはCDにとりまして上出来なプレゼンテーション、プロモーションの機会じゃあなかったでしょうか。
体調不良の為の来日キャンセルとなったゲルハルト・ボッセ氏の代役が必要になりウィーンに強力なパイプを持つCD発売元のIプロデューサーが動いた(トゥルコヴィッチ氏を推した)のかもしれません。そのCDレーベル、そしてI氏、懐かしいなぁ。わたくしのことなど憶えていらっしゃらないだろうなぁ。

9:24 PM permalink | classical music | comments (0) | trackbacks (0)