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June 16, 2009

  かたち在るものが立ち昇る楽器の響き(2)

もう終了してしまいました展覧会のことですが、画廊がひしめく東京・京橋の一角に比較的最近(2004年のことだそうです)オープンしましたPUNCTUMへ、庄司紗矢香展を観にいったのでした。
出展はカンバスに描いた油彩9点と、指定された時間に上映されるビデオ作品(これは庄司さんと映像作家、パスカル・フラマン氏との共作)1点。
絵画作品には例えば「遠くから Lontano」というタイトルとともに「ブロッホ:ソナタ1番2楽章 "Lontano"」とその絵を描いた素材としての楽曲楽章名が添えられておりました。とはいえその楽曲楽章全体から得られるイメージではなく、ある瞬間に過るイメージを絵画化したように判断できます。(その時間的に十数秒の音楽の断片はそれぞれの絵の下に用意されたポータブル・プレーヤーとヘッドフォンによって試聴可能になっておりました)

わたくしが「金属片や針金が重層的に折り重なり、そしてそれがひとつの塊になったような印象」と記しましたリゲティ作曲「ヴァイオリン協奏曲」の3楽章冒頭を描いた作品には女性の姿が認められ、その長い髪をたどりますと木が連なっているようなモチーフも描かれております。わたくしとは違って彼女はずいぶんと柔らかいイメージを見ているようですね。

そして同じく拙エントリーで「鄙びた旋律が印象的。」と記しました同曲2楽章を材にとりました作品では荒涼とした風景に思える黄土色の大地と山と捉えてよいのでしょうか、そしてその背後にヴァイオリンの弦を押さえる(彼女自身の?)左手を認めることができます。彼女は彼女の楽器が音を響かせるところから映像イメージを立ち上がらせているように思えます。
このことから他の誰かによる音楽演奏ではなく、あくまでも自身が発した音、響きそのものが映像化絵画化されていることが解るのですが、世界屈指の技術をもったヴァイオリニストの感受性を垣間みるようで興味深いです。
作品には「ベルク:ヴァイオリン協奏曲冒頭」から材をとりました「ある天使の思い出に」のように楽曲の標題的イメージをそのまま表した作品も見受けられましたが、先の「リゲティの2楽章」や「プロコフィエフ:ソナタ2番4楽章」からの抽象的な絵画作品のほうが私的にははるかに音楽を感じられるように思えたのでした。

posted by mniijima : Jun 16, 2009

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