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April 24, 2009

  新たな銅鑼は黄金で鋳出せ(序)

まだ30歳代、若手の指揮者、金聖響氏のCDを3組聴いてみました。

ベートーヴェン 交響曲 2番、7番/オーケストラ・アンサンブル金沢(以下O.E.K)

ベートーヴェン 交響曲第5番/O.E.K

ベートーヴェン 交響曲第6番/O.E.K

まず第7交響曲を聴いて意外に思ったことは、せかせかと急がず、堂々としたテンポの設定であったことでした。ピリオド・アプローチ(脚注参照)への先入観でしょうか、もっとアップテンポな演奏をイメージしていたのですけれども、この曲での金氏のアプローチは往年の巨匠のような貫禄さえ感じられます。
ノン・ヴィブラートの弦が長い音符をあっさりと、減衰を早めに弾いた直後の隙間に木管などによって奏でられる新たなフレーズが見えてくる、その繰り返しによってより重層的なこの楽曲の構造が、互い違いに積まれた煉瓦壁の仕様が、まさに浮かび上がってくるように聴こえます。これは交響曲の運びとして私的には大歓迎な方向です。
そして2楽章アレグレットにて非常に短いスパンで細かなディナーミクを指示しているのには、おおうと、唸りました。金氏の指揮はこのように緩徐楽章がすばらしいのも特筆されてしかるべしと思われます。
別の盤での第5交響曲、2楽章で細やかなテンポ変化を設け激しい楽章に挟まれた、この花弁が何層にも重なる牡丹のような2楽章を麗しく歌い上げておりました。

演奏はすべてオーケストラ・アンサンブル金沢ですが、其処の音楽監督である指揮者・井上道義氏の棒によるライブをテレビで拝見しておりましたので、たいへんよい楽団であることは承知しておりましたが、金氏のこれらCDでも期待を裏切らない好演。まぁ、セッション・レコーディングでは編集作業で傷を差し替えることが可能であることを引いても、このようなオケが石川県にあって、素敵なフランチャイズ・ホールであります(訪問したことはございませんが)石川県立音楽堂でたいへん精力的な活動をおこなっているとは、金沢のファンが羨ましいです。テレビで見たとき外国人演奏家も多かったのが印象的。

ところで金氏のCDを一気に3組も聴いたのは、明日4月25日土曜日、彼が神奈川フィルハーモニーの指揮台に立つから。音楽監督を辞任されたシュナイト氏の後を受けて、常任指揮者としての就任披露公演があるからなのです。
披露楽曲はハイドンの交響曲第101番「時計」と、ベートーヴェン第3交響曲「英雄」です。渋い! これら古典派の2曲をどう聴かせてくれるのでしょうか?
ところで、金氏が常任ということは神奈川フィルがピリオド・アプローチを為すということなのですね!


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(脚注)このブログでは「ピリオド・アプローチ」を解説しておいたほうがよいでしょう。クラシック音楽で使用される楽器は時代によって変化したり、がらっと変わってしまったりを繰り返してまいりました。現在わたしたちがよく耳にするオーケストラの楽器はおよそ19世紀に固まってまいりました。そこでこれらの楽器のことをモダン楽器と呼んでおります。
ところで1960年代ごろより、それ以前の楽器を用いて、例えばバッハが作曲した当時の楽器と奏法で(バッハなどを)演奏することが盛んになってまいりました。これらの楽器のことを古楽器またはピリオド楽器などと呼びます。奏法としてはヴィブラートをかけずに演奏したりすることが最も目立ったものかもしれません。
そしてモダン楽器を使っているオーケストラが、ピリオド楽器風の奏法を取り入れて演奏することも始まりました。これをピリオド・アプローチと呼んでいるのです。

posted by mniijima : Apr 24, 2009

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comments

「ノン・ヴィブラートの弦が長い音符をあっさりと、減衰を早めに弾いた直後の隙間に木管などによって奏でられる新たなフレーズが見えてくる、その繰り返しによってより重層的なこの楽曲の構造が、互い違いに積まれた煉瓦壁の仕様が、まさに浮かび上がってくるように聴こえます。」
とっても分かり易い、なるほど〜。

私は 「ピリオドアプローチ」と言う言葉を知りませんでしたが、テレマンの演奏はそうだったんですね、きっと。

昨日聞いて来られたんですね。
この続きを待っています。

by 光代 : April 26, 2009 10:36 AM

光代さん、
テレマン協会の演奏は、正確には知りませんが、「〜アプローチ」ではなく、古楽器そのものによる演奏では?
今回も東京での定期演奏会に行けず、ラフォルジュルネも同様。なかなか聴けないのでちゃんとお答えできずに申し訳ありません。
神奈川フィルはしっかり聴いているのですけれど...

by M.Niijima : April 26, 2009 3:01 PM

はい そうです。
古楽器そのものですし、チューニングも その頃と同じだと聞いたように思います。
それで 演奏もそんな風なのかなと思いました。

チューニングは 始めの頃は狂っているように思えてなりませんでした。

by 光代 : April 27, 2009 11:14 AM

光代さん、
う〜ん、モダン楽器によるピリオド・アプローチと、ピリオド楽器そのものの演奏は、やはり同一には語れないと思いますよ。ピリオド楽器ですと、機能的な制約もありますから、純粋に音楽表現の幅を考えるとモダン楽器のほうが有利ですからね(それが音楽の質には直接つながらないのは言うまでもないことですが)。

テレマン協会はa=430Hz、古典ピッチを採用しているようですね。昨今の標準ピッチから約1/4音くらい下でしょうかね。

by M.Niijima : April 27, 2009 5:48 PM

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