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March 19, 2009

  出航の銅鑼の音よ、私達の大切な師を無事に送り出したまえ(3)

オルガンが加わったオケと合唱、そして4名の独唱者による豪華絢爛な楽曲。わたしはどうもシーケンス(またはゼクヴェンツ=反復進行)にゲネラルパウゼ(全休止)、またシーケンスにゲネラルパウゼ、飽くなきファンファーレ。楽曲そのものも長大なブルックナーの交響曲が苦手でして、この「テ・デウム」くらいのサイズが(声楽も伴って楽しめますし)聴きやすいと思っておりましたから、この晩のシュナイト氏による演奏はたいへん楽しみだったのです。


第1曲目「Te Deum」。弦のシークエンスに導かれてからオケの全強奏。しかし、わたしが座る3階席に響いてきたのは圧倒的な音圧のパイプ・オルガン。もう完全に全強奏のオケを喰ってしまっていました。
想像するにステージ上、および1階席あたりでは、圧倒的オルガンの響きの中でもしっかりオケのラインが浮き上がってくるようなよいバランスで聴こえていたのではないでしょうか。オルガン奏者のいる高さは客席2階に匹敵し、わたしが座りました3階席のはるか前方にはオルガンのパイプ群が並んでいるのですからね。
中間部で独唱陣だけのセクションがありますが、ほぼ全編を合唱が歌い上げ壮観です。合唱は神奈川フィル合唱団。ブラームスの2、3曲目のあと、休憩を挟んでおりましたが、声に疲れがみえてきており(声帯って疲労するのです)、彼ら彼女らにはハードな演奏会だったかもしれません。

第2曲「Te ergo quaesumus」。テノールが大活躍する曲ですが、その後ろで奏でられますコンサートマスターによるソロ・ヴァイオリンも魅力の曲。もちろん先週のMUZA川崎で堪能しました石田泰尚氏が務めるであろうと、ここも楽しみでありました。そしてその期待を裏切らない美音!

再び全強奏と合唱による迫力満点の第3曲「Aeterna fac」に続きまして、第4曲「Salvum fac populum tuum」はテノール・ソロの後ろを女声合唱が静かに支えて始まります。テノールは若手の小原啓楼氏。よい声です。バリトンの青山貴氏もなかなかで、国内の声楽、男声若手がこんなにもレベルの高い歌唱をしてくださることにたいへん嬉しく思いました。

第5曲「In te, Domine, speravi」。4声の独唱陣はバランスもよく、公演プログラムによりますとソプラノの平松英子氏はシュナイト氏の愛弟子なのだそうです。鋭さと柔らかさを兼ね備え、そして安定感もある素晴らしい方ですね。メゾのパートは(バリトンとともに)この曲であまり目立たないのですが和声を支える存在としてしっかりとした声で貢献されておりました加納悦子氏。独唱4名のなかで、今後ソリストとしてもっとも聴いてみたいと思ったのが、この加納氏だったのでした。

全5曲がこんなにも長いと意識したことは今までございませんでした。テンポのとりかたもあったのでしょうが、しっかりと縦の響きを意識させてくださったおかげで1音1音が充実して聴こえてきたからなのでしょう。曲は大団円へ向かい壮麗な響きを築いてゆきます。ひとつの時代が終わろうとしておりますが、最後になったこのテ・デウムを意外にも冷静に聴くことができましたのは、終始、音楽を豊かに響かせることを目指した指揮者からの贈物だったのでしょう。わたしたち聴衆と、この国の音楽家たちに多くのことを与えてくださったシュナイト氏に、わたしたちがいまできることは敬意をもって大きな拍手で讃えることしかないように思いました。

posted by mniijima : Mar 19, 2009

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