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February 6, 2009

  その歌手の奇妙な果実度(1)

好きなジャズ・ヴォーカリストの一番目はサラ・ヴォーンで、二番目はエラ・フィッツジェラルドなのです。
ビリー・ホリデイのCDはヴァーヴ・レーベルでの録音、すなわち最後の8年とか9年間の音源を集めた2枚組ベストしか持っておりませんでした。そのアルバムは何度聴いても、薬物とアルコールの過剰摂取によって肉体、声帯がひどい状態になっていることだけがよく判るアルバムとして、決して馴染めるものではございませんでした。
数年前、そのようなビリー・ホリデイに対する印象を、音楽制作者として大先輩であり、わたくしがたいへん尊敬している方にお話ししましたところ、若い頃の彼女がつくるタイム感覚はとても素晴らしいよと教えられました。そして聴いてみたのが1935年から42年(ビリー、20〜27歳)に渡ってピアニスト・テディ・ウィルソンと共演している音源を集めたもの。ここでようやく(それでも特殊だとは思いますが)まだ皺枯れていない彼女の声を聴くことができ、そして抜群のリズム感を知るに至ったのでしたが、それでもサラやエラから得られた圧倒されるような感覚には至らず、どうもわたくしにとってビリー・ホリデイは苦手なヴォーカリストであったのでした。

posted by mniijima : Feb 6, 2009

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comments

そうですね、ぼくもビリー・ホリデイは些か苦手です。
サラやエラなら純粋にジャズを楽しめますが、ビリー・ホリデイの場合はどうも音楽以外の要素での評価が...気になりますです。

黒人の女性ヴォーカリストとしては80年代に頭角を現してきたDianne Reevesはサラやエラの正当な後継者という感じですが、この人は歌が上手すぎる気もします。好みから云えば90年代に頭角を現したCassandra Wilsonのグルーブ感がちょっと気に入ってます。

by iGa : February 8, 2009 12:22 AM

iGaさん、
まったく同感でございます。
ビリー・ホリデイが歩んだ生涯が、あまりにも伝説化されてしまっていて、本来の彼女の音楽性が正当に語られているのかどうか、まったく疑問なのでした。
少なくとも、わたくしが聴いていた晩年の歌唱、声がダメになっていても表現の深さがみたいな評価を、わたくし自身好意的に受け取ることはできませんでした。

さて、Dianne Reevesに関しまして、わたくしも「機械のようだ」という印象を持っておりました。美空ひばりの「川の流れのように」も同様に完璧な歌唱を聴くことができます。各コーラスで、ここはこう、あそこはこう、と、見事に決め打ちで表現されている歌唱に驚嘆はするものの、若き日に歌った「りんご追分」や「佐渡情話」にあったようなソウルな歌を理想としてしまうのです。
そしてCassandra Wilsonにはわたくしもヤラれています。初めて聴いたのが93年のアルバム「BLUE LIGHT 'TIL DAWN」。1曲目の「You Don't Know What Love Is」の、いったい何処から絞り出てくるのだろうと思う、深い歌唱に一発で魅せられました。以降、Cassandra Wilsonの歌唱は特別な存在となったのでした。

by M.Niijima : February 8, 2009 1:43 AM

ビリー・ホリディの人気がないのが気になりまして・・・・。
私は5年前まで ジャズを聴いたことがありませんでした。好きじゃないと思っていて・・・・・。

でも、音楽が好きで、何枚かのレコードを持っていました。その中に なぜかビリー・ホリディがあります。
「You don't know what love is」には どんなに泣かされたでしょう!以来、彼女が好きでした。
伝説も 生い立ちも最近まで何も知りませんでした。
ラッキーだったのかもしれませんね!

今度 Cassandra Wilsonのを聴いてみたいなと思いました。

by 光代 : February 9, 2009 7:43 AM

光代さん、
ビリー・ホリデイの生涯を知らずに楽曲だけを聴き、そして感動できたことは確かにとても幸運な体験ですね。
次回エントリー
http://across.mniijima.com/2009/02/post_260.html
の本文で触れていますディスコグラフィで彼女の「You Don't Know What Love Is」をあたってみますと、この曲は生涯で1度しかレコーディングをしていない。そしてアルバム「Lady in Satin」に収録されていることがわかりました。
レコーディングは58年。まさに晩年ですね。光代さんが泣かされた歌がどういうものか、聴いてみたいです。

Lady in Satinのアルバム紹介
http://www.billieholiday.be/Albums/Album0528.htm

当日のセッションの様子
http://www.billieholiday.be/Sessions/Session0165.htm

by M.Niijima : February 9, 2009 11:12 AM

ビリー・ホリディは、その波乱に満ちた人生の印象が強くて、歌声(特に晩年の歌声)をそのまま受け止めることが難しく、私も苦手にしています。でも、その音楽性というか、彼女が残した曲には心打たれることがあります。

たとえば「Don't explain」というバラードがありますが、最初にウイントンケリーのアルバムで聴いてそのメロディの美しさに圧倒され、誰が作曲したのかと思ったら、じつはビリー・ホリディでした。この曲はヘレンメリルをはじめに多くのジャズミュージシャンが取り上げていますので、その影響は大きかったのでしょう。

by じんた堂 : February 9, 2009 2:46 PM

じんた堂さん、
ウィントン・ケリーが弾く「Don't explain」。アルバム「Wisper Not」に収録されているテイクかしら? 以前聴いたことがあると思いますが、あまり記憶に残っていませんでした。「Kelly Blue」は実家を探せばでてくると思いますが、、、
とはいえ想像するにあのメロディをしっとりと(なのかしら?)ピアノで弾いたらとてもよさそうですね。
わたくしの感想では、ビリーが歌うと、声の問題だけでなく、楽曲作りにおける言葉の乗せ方、殊に出だしの Don-'t-exの部分がメロと詩の音感のマッチングがよくないのではないか、そんな気がいたします。ですからどうせならばもっともっとフェイクさせて歌ったほうが意外と心地よくなるのかもしれません。

by M.Niijima : February 10, 2009 2:33 AM

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