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March 14, 2008
旧桃園川緑道を阿佐ヶ谷方面より、旧西原橋、旧宮下橋、旧馬橋、旧内手橋、旧東橋、旧八反目上橋、旧八反目橋と、橋づくしをしながら、歩いてきますと、高円寺駅近くまでやってまいります。次にくる橋が、旧宝橋です。此処の橋詰北側は、JR高円寺駅南口より続くアーケード商店街「Pal商店街」となっております。
そしてこの旧宝橋を挟んだ南側から、商店街名が変わり、こちらは「高円寺ルック」といいます。
「高円寺ルック」となった最初の路地を左(東)に折れますと、それは凛として、そこに立っておりました。
黄色い地に、黒文字で「ルネッサンス」と書かれた看板。そして赤い文字で「音楽室と珈琲」とも書かれております。
地階に降りまして、入口を開けますと、受付がございます。メニューは、珈琲、紅茶、ジュースと3種類しかございません。珈琲を頼みますと、それは400円で、桃色のプラスティック製の、よく番号札に使われます札を渡されました。
店内を見回しますと、時が止まった柱時計、電気ランプ、額に飾られた小さな号数の絵画などがたくさん壁に掛けられております。古いタンノイのスピーカーは、管球アンプを通じて、スクラッチ・ノイズだらけのレコードを奏でております。
この地下室の天井部をわたす梁には、古いトランペットやクラリネットが掛けられており、そのクラの横にカビネ・サイズの白黒写真が2点貼り付けてありました。その片方は懐かしい、中野の「クラシック」の外観写真で、もう片方は、おそらく在りし日のミマサカ氏。
お店のかたに伺いましたところ、「クラシック」の従業員であった彼女たちは、中野の店が閉店するとき、そこの設備一式を譲り受けたのだそうです。そして昨2007年11月、此処に「ルネッサンス」として新たに開店したとのことでした。
なんということでしょう。
あの「クラシック」の設備や調度品、装飾品などがたいせつに保管されていたのです。そして、それらを活かして、あかの他人ではない、ミマサカさんを知る方々によって、新たな喫茶店として復活したとは! わたくしは奇跡を見るような面持ちでもって、慣れないような、懐かしいような、不思議な気分で、あたりをきょろきょろし、珈琲をすすり、そのときかかっておりましたヴァイオリン・ソナタに耳を傾けました。
ところで、設備一式を譲っていただいたところで、引き継いで開店するなどということは、おいそれとできることではないでしょう。開店にあたっては、いろいろとご苦労もあったのではないか、いらぬ憂慮の念も生じてしまいます。
それでも、こうして、此処で、珈琲が飲めるということは、この新しい店を開いた方の、かつて中野にあった店への、2代に渡るミマサカさんへの、音楽への、古いレコードやオーディオへの、いくつもの調度品や装飾品への、深い敬意と愛情があったからなのではないでしょうか。
わたくしは、単に「クラシック」復活的な喫茶店が開店したからということではなく、此処を開いた方々の「気持ち」を感じ、それに打たれたのです。
この素敵な空間が少しでも長くここに在り続け、新たな歴史をつくっていってほしいと、わたくしは、阿佐ヶ谷の「ヴィオロン」同様、此処も隠れ家として時間が或るときには通い続けたいと、すっかり暖かくなってまいりましたこの弥生の夕刻に、桃園川暗渠と別れ、JR高円寺駅へ向かいながら、中央線沿線らしい喧騒のなかで「再生」と呟いたのでした。

Mar '08, @Ko-en-ji, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 28mm f2.8 lenz.
Fuji NATURA 1600 @EI 1600, Home developing. Scaned from the nega-film.
posted by mniijima : Mar 14, 2008
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