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March 10, 2008
JR中央線、阿佐ヶ谷駅を北口に下りまして、高架に沿った駅前商店街、スターロードを西へ、荻窪方向に歩いてゆきますと、行き止まり、クランク状に、少しだけ北へ進み、すぐまた西へと向かいますと、商店街から住宅地へと移ってまいります。周囲が静かに生活を営む人々の家々に囲まれてすぐ、右側に一軒の趣きを異にした建物と出会うことになります。
「ヴィオロン」と云う名のクラシック喫茶でございます。
マスターのT氏によりますと、店内は、ウィーンの有名な音楽ホール、ムジークフェラインザールを模しているのだそうです。店舗中央部が一段低くなっており、その周囲が回廊状にぐるりと取り囲んで、どちらにもテーブルと席が設けられております。ところが、決してコンサート会場のように音が鳴る方向へ席が向けられているのではなく、あくまでも喫茶店として、同行者とおしゃべりをしたり、ひとりで寛いだり、または音楽と向き合う、そんな各々の時間の過ごし方が適うような配置となっております。
入口に近い側は、窓から射し込む光で明るくなっており、読書をするのに適した場所ですが、陽が射し込まない場所は薄暗く、いくつも架けられた電気ランプの灯りだけがやさしい黄色い光を落としております。
いちばん奥が音場(音が鳴る場所)で、マスター自作のマグネティック・スピーカー(※)が、分厚い板に組み込まれ、そのスピーカー・システムは箱になっておらず、背面の反響板のようなカーブを描きます壁に反射した拡散音とともに響きが前方へ伝わるような仕組みになっているのです。
そこから再生される音は、とろけるような甘さ、やわらかさ、を持っており、過ごす時間は格別のひとときなのでございます。
回廊状の一角にはアップライトのピアノがあり、ときどき、室内楽や声楽のコンサートが行われております。実はわたくし、20数年前、記録用として、そこでのコンサート演者に渡すライブ音源を収録していたのです。
現在喫茶店の隣はマスターの奥様が営むタイ料理のレストランとなっておりますが、当時のそのスペースは、マスターがつくるオーディオ、管球アンプであったり、マグネティック・スピーカーであったりと、それらを販売するためのショウルーム兼工房として利用されておりました。そこへ機材を運び込み、調整室がわりに使用していたのです。
「ヴィオロン」で珈琲を注文いたしますと、席に運ばれてきたときに、ミルクを入れるか、ブランデーを入れるか、尋ねられます。わたくしはいつもブランデーをお願いするのですが、その珈琲は当時とかわらない味とお値段で今日もサーブされております。そして一度注文をしますと、その日は店に出入り自由となる、なんとも時代を感じさせないお店のスタイルを貫いて営んでいらっしゃるのです。
昨今わたくしは、年に数度しか、此処を訪れることができないのですが、それでも、此処は、いまだに、わたくしの隠れ家なのでございます。
※現在、生産流通されているほとんどのスピーカーはダイナミック型と云いまして、コイル、磁石、振動板(コーン紙)で構成されています。磁石は通常永久磁石を使用しておりますが、20世紀前半には電磁石を採用したモデルが多く生産されておりました。それを、マグネティック・スピーカーといいます。
posted by mniijima : Mar 10, 2008
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comments
af_blogのfuRuこと古川です。
昨日のウォークで始めてお会い出来ましたので、と言うわけでもないのですが、ちょっとご挨拶を。
この喫茶店ですが、やはりアースダイビングにも参加されているTさんもこちらのマスターのことをよく知っておられて、阿佐谷をアースダイビングした昨年の春、ダイビング後に有志で行ってみたのですが、その時は残念ながら生演奏の日で中に入ることがかないませんでした。
機会があればぜひ一度行って見たいと思っているお店です。
追伸
私のブログにリンクを張らせていただきますね。
by fuRu : March 17, 2008 4:07 PM
fuRuさん、昨日はお会いできましたこと、そして拙ブログへお越しいただきましたこと、たいへん嬉しく思います。
そうですか、ヴィオロンへ行ったのに、生演奏の日でしたか。それは残念でしたね。
実は、生演奏日の早めの時間は、ねらい目なのです。
記事内にも書きましたが、一度注文をしますと、その日は店に出入り自由となるシステムですが、生演奏日には、夜帯は出入りができなくなってしまいますので、珈琲を頼むと、おいしいチーズケーキがサービスで付いてきます。
機会あれば是非店内でごゆっくりされることをお勧めいたします。
by M.Niijima : March 17, 2008 5:33 PM