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February 18, 2008
最近、音楽ブログ化しているAcross the Street Soundsです(^^;
先週、2007年度のグラミー賞が発表され授賞式が行なわれました。最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、新人賞、すなわち主要4部門中の3部門、および女性ポップヴォーカル、ポップヴォーカルアルバムの各賞をエイミー・ワインハウスが独占することになりました。また米国へのビザが発給されず授賞式に参列、出演できない彼女のために英国からの中継でライブを届けるという異例もニュースになる熱狂ぶりが伝わってまいりました。
エイミー・ワインハウスは、日本での(国内盤)リリースが遅れ、英米に比べて知名度は今一歩伸びていないかもしれませんが、今回の受賞を機に、いきなりメジャー・トップのアーティストとして認知されるでしょう。ところがドラッグやアルコール依存症を始めとする、お騒がせアーティストとしても有名ですから、そういった面が先走りしており、また、声がサラ・ヴォーンに似ている、いや、ビリー・ホリデイだ、なんて騒がれて(サラとビリーは全然違うのにね)本来の音楽性をきちんと評価されていないような気がいたします。
ご存じない方は、誤解なきよう、彼女はジャズ・シンガーではございませんで、グラミー賞では「ポップ」カテゴリーでの受賞もありましたが、カテゴリーで云えば(モダン)R&Bの範疇でしょう。
さて、エイミー・ワインハウスの音楽で、もっとも魅力的なのは、やはり彼女の声の質なのではないでしょうか。太い声ですが、張りがあり、わたくしはとても好きな声です。
そして、なにより恰好いいのが、あの、リズムのズラし、スカし、カワし、彼女の真骨頂ともいえる表現で、それがとても面白く、気持ちの良い効果を与えていると思われます。
(本エントリー末尾に、追記挿入いたしました。 08年2月24日)
例えば、2ndアルバム「Back to Black」のオープニング曲「Rehab」のサビ。(今回の各楽曲名からは、ユニバーサルミュージックがYouTubeへアップしているPV=プロモーションビデオにリンクしています。)はじめて聴いたとき、拍がひっくり返った感じがしまして度肝を抜かれました。慣れてくるととても気持ちよくカワされたと聴こえてきます。
そういったリズム遊びがヴォーカルだけに留まっているのならば、ラップのオフビート的流用と捉えられますが「Tears Dry On Their Own」では、オケ・アレンジの中にもそういった要素を取り入れており、これは、おお!っとなります
また、エコー処理にリピートするフィードバック・ディレイを多用しているのですが、これは意識的かどうか判りません、もしかしたら単純にレトロなループ・テープ・エコー効果を再現しようとしているのかもしれないのですが、そのリピートするフィードバックが、リズムのリフレクションであり、イミテーションともなっており、うたや、アレンジとともに、全体がリズムの「トリック」をおこなう強烈な「トラック」となっているのです。
アレンジは、ソウル・ミュージックと呼ばれていたレトロなR&Bスタイルをベースにしており、かなりゴージャス。ブ厚いホーン・セクション、シンプルなカウンターを乗せるストリングスはもちろん、チューブラベル、グロッケンの採用がかつてのモータウン・サウンドを想起させますが、古いものだけでなく、クラブ・ジャズ的なシークエンスとうわ物(ペットなど)の使い方も見られ、それらがモダンなコンプされたリズム・トラックに被さる。コテコテで、下世話で、厚塗りして、その一切洗練されることを拒んだ感じが恰好よいのです。
「You Know I'm No Good」などはメロも含めて日本の歌謡曲に通じるものもありまして、これまた興味深いです。
さて、グラミーの受賞ライブを終えた彼女は、施設へもどりRehab、すなわち依存症のリハビリテーションへの日々へと戻ったようです。わたくしは予てより、人を感動させるスリリングな演奏、歌唱は、健康な肉体からしか発せられないと信じております。音楽やるには体力が必要なのです。
「Rehab」で聴かせてくれましたスリルなリズム、あの感覚を失わないようrehabに励んでいただき、次のアルバムでは、さらなる刺激を与えていただきたいと強く願うのであります。
※アップロード時に、冒頭"2008年のグラミー賞が"と記したところを、"2007年度のグラミー賞が"と改稿いたしました。
※「MADCONNECTION」のiGaさんが、今回のグラミー受賞各楽曲をコンピレーションにして聴いていらっしゃるとのこと。
アルバムのなかの1曲買いができ、編集機能が備わっておりますiTunesとそのStoreをもってすれば、このような企画を各々作成できてしまいます。いや、まったく、楽しい時代でございます。(08年2月24日追記)
posted by mniijima : Feb 18, 2008
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comments
何と魅力的な声に カッコいい歌い方!
そして、スリリングなアレンジ。
参りました!気に入りました!
この歌い方 この粘り!
きっと 誰にもまね出来ないですね〜〜。
良いもの紹介してもらいました。
それにしても こんなに若いのに ドラッグやアルコールの依存症だなんて。
歌も彼女を救わなかったんですね・・・・。
なんでだろ?
不思議な気がしています。
by 光代 : February 19, 2008 1:16 AM
さすが!光代さん! さすが、ヴォーカリストです。
よくぞ、反応してくださいました!
そうなのですよ。彼女にとって、歌はなんだったのか? という疑問が湧きますよね。
芸の道は、一筋縄ではいきませんから、いま壁にぶちあたっていると思うのですよね。きっと、考えていること、本来の身体が求めていることの、どれだけが表現できているのだろうかと。リハビリ済んだら、それを超えたら、さらに磨きがかかると思うのですよ。とても期待しているのです。
by M.Niijima : February 19, 2008 2:42 AM
おはようございます。
音を初めて聞きました。
サラ・ボーンにもビリー・ホリディにも似ているとは言え無いような気がしますね?
ん~~~ん正直に言うと映像無しで聞いていたいです。
痛々しいのです・・・
by chatnoir : February 19, 2008 5:21 AM
エイミー・ワインハウスのことはそう言えば 数日前に末っ子に教えてもらっていたのでした。
凄い人が居るって。
こうして色々な人のおかげで 私の音楽は少しずつ豊かになるのですね。
それにしても この声とリズム感!
やっぱり凄くて 余りにも羨ましいです。
なのにね・・・・・。
まだ,若過ぎて 歌から自分に戻ってくるものが 余り見えていないのかもしれませんね。
むしろ、リハビリしなくちゃ行けない状況が 彼女を育てるかもしれません。
是非ともそうあって、天から与えられた才能を 大きな大きな花として咲かせて欲しいです。
by 光代 : February 19, 2008 8:49 AM
chatnoirさん、
そうですね、音域が高いところにいったとき、若干ビリー・ホリデイのような質感はなくはないのですが、それだけでは似ていると云えないですね。
> 痛々しいのです・・・
解ります。スリルなリズムの中でうたわれるRehabは、悲しい歌だなと思いました。
両腕に為されたタトゥーを含めて嫌悪を示す人も多くいるでしょう。
こういった音楽は一種のカウンターカルチャーだったのですが、彼女の生い立ち、環境のなにがそうさせるのか、といった問題があり、そして斯様な存在をファッションとする見方の問題と、それを前面にだして商品化する売り方のなかで犠牲となっているのかもしれません。
by M.Niijima : February 19, 2008 12:17 PM
光代さん、
ご息女は、いかしてますねぇ。
仰るとおり、これからの過程が彼女を育てるでしょうね。カウンターを、すなわち反抗心を、いまは、彼女自身に向かわせているような感じです。それを、どこに向かわせるのがよいのか、それに気付き、より強い表現者になってくれることを願っています。
by M.Niijima : February 19, 2008 12:18 PM
遅れコメントですが、貴ブログの音楽ブログ化…歓迎です(^^)
ところで、このエイミーですが、街でよく写真を見かけ、「ぐれたバービー人形(^^;みたいだけど、何者なんだ?」と思っていました。で、歌を聴いてみてビックリです。凄いですね。きます。というわけで、早速CDを購入してきました。ファーストアルバムはまだ未完…という感じがありますが、やはり彼女の力量の片鱗があちこちに感じられました。で、センカンドアルバムになると、飛躍的に方向性が定まり、はっきりと成長しているように感じました。しかも、彼女は作曲も自身でやっているんですね。これにも驚きました。いや大変な才能ですね…これは…参りました。Niijimaさんの紹介エントリーが無かったら、これを聴き逃していたところです。感謝です!
by masa : February 22, 2008 4:15 AM
masaさん、
さすが、お目が高いと申しますか、耳が肥えていらっしゃいます。
エイミーのヴィジュアルからは、わぁ、女プリンスだと、わたくしは感じました。
音楽的にプリンスには、オンビートの見事な気持ちよさ、あの縦の合わせの見事さ、それでありながら横に揺れる怪しさがあって、エイミーの魅力とはまた違うものですが、その完成度の高さは(やはりアルバムごとに成長していった)すべての音楽家が倣ってもよいものだと思っています。
そのような高い次元までゆける可能性をエイミーは持っていますから、今後さらにさらに期待してしまいます。
コメントをありがとうございました。
by M.Niijima : February 22, 2008 10:20 AM
M.Niijimaさん、追記とリンクありがとうございます。
昔はLPをカセットにダビングする時、針を落とすタイミングに随分と気を使ったものですが、楽曲がデジタル化されネットから一曲買いできる時代ですから、アルバムにこだわらずプレイリストを作り、車に乗るときも"Grammy Winners+1"のコンピレーションを聴いて愉しんでます。これから毎年"Grammy Winners"のコンピレーションアルバムを作ってみるのも面白いかも知れません。
by iGa : February 24, 2008 4:37 PM
iGaさん、
コメント投稿時にエラーが出てしまいましたでしょうか? スパムと重なると500エラーが出てしまうようです。貴重なお時間ですのに、二度も投稿作業をさせてしまいまして、申し訳ございませんでした。
さて、そういえばカセットで寄せ集めのコンピ・テープをつくるのは随分たいへんだったことを思い出しました。
そして、つい先日、中古で求めましたリナ・ホーンのLPをCD化したのですが、インデックスをリアルタイムに手動で打っていったので、なかなか緊張しました。
一度wavとかに取り込んでから、インデックスを打てば楽なのですけどね。時間もあまりなかったので一気にCDDAにするレコーダーで行なったのでした。
そして、毎年グラミー受賞曲をコンピにしてゆくと、しばらくしたら、そのとき、その時代の、米国の流行が見えてきて、これはかなり面白いアーカイブになりますね。
コメントをお寄せいただき、ありがとうございました。
(いただいた2つ目のコメントを表示し、1つ目は非表示とさせていただきました。)
by M.Niijima : February 24, 2008 8:54 PM
エイミーについて ネットで調べました。
本当かどうか知りませんが、彼女がリハビリを嫌がったと言うことを書いてありますね。
なぜだろう?
こんなに若くて(娘とほぼ同じ年) 数十年に一人くらいの素晴らしい才能があって(それも豊かで) しかもこんなに破滅的な理由がわからない。
どんな風に育った???
一体何にそんなにむかついているんでしょう?
いいえ、私の中にも その怒りがあった時代もある。
なのに,今はそんな彼女が理解出来ないのです。
歌う事って 何だったんでしょう?
そんな事を考え込んでいます。
by 光代 : February 26, 2008 10:24 PM
光代さん、お返事が遅くなりまして失礼いたしました。
わたくしも、彼女をそこまで追い込んだものが何かわかりません。
単純に、依存症は、やはり字のごとく、誰もが、頼っているものが奪われようとしたとき、おおきな拒否反応を示すのだなぁと、恐ろしいものだと、思うのです。
同様に思うことは、彼女にとって、うたが、それを超える糧になっていないのだなぁ、と。
わたくしも二十代のころは、ずいぶんトンガッて生きていましたが、それでも、ものづくりは、一切のものを超える糧でした。
これからの彼女は、相当たいへんだと思います。ただでさえ芸の道、厳しいものがあるところへ、グラミー・ウィナーの冠がついてしまったのですから、そのプレッシャーは相当です。次作がどうなるか、試金石になるでしょうね。ぶっとぶものを期待しているのですが。
by M.Niijima : February 27, 2008 10:35 AM