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February 15, 2008
前回記しましたリナ・ホーン、76年リリースのアルバム「Lena: A New Album」は、中古LP屋で購入したのですが、実は、当初それを探し求めて店をまわったのではなかったのです。
本命は2点ございまして、それらを探しにジャズ・ヴォーカルの棚からスコンスコンスコンとジャケットを捲っておりますと、スカートの裾を翻したリチャード・アヴェドン撮影によります恰好いい白黒のジャケットが顔を出しまして、お値段も安かったものですから、すかさず引き上げて脇に抱えたのでした。
それでは本命がなにであったかと申しますと、まず1点、やはり1930年代から活躍しはじめましたビー・ウェイン(Bea Wain: 1917-)の「My Reverie」。

このビー・ウェインというヴォーカリストは、ラリー・クリントン楽団に所属してから、たいへん人気がでたそうで、購入したアルバムのタイトルにもなっております「My Reverie」は、ドビュッシーの「夢(Reverie)」のメロディをモチーフにラリー・クリントンが詩をつけたもの。まさに彼女のために書き下ろされた楽曲なのだそうです。
またHoagy Carmichael(曲)、Frank Loesser(詩)というコンビによって書かれた「Heart and Soul」も彼女が歌い、ヒット、その後多くのヴォーカリストに歌われるスタンダードナンバーとなってゆきました。
その「Heart and Soul」がYouYubeにあがっておりました。
「Bea Wain singing Heart and Soul with the Larry Clinton - 1939」
このYouYubeでの歌唱は、そこそこ、しっとりとしたものでございますが、LPから聴こえてくるビーの歌は、明るい声質で、若々しいと云いましょうか、先にご紹介しております若いバンド・シンガーでも、なかなかな姐御っぽい歌を聴かせてくれるヘレン・ウォードとはだいぶ趣きを異にしております。
そして上の画像をご覧になって、お気づきになられたと思いますが、ジャケットがリナ・ホーンの「Stormy Weather」、ヘレン・ウォードの「Goody Goody」と同じデザイン・コンセプトでつくられております。
わたくしが「Goody Goody」を購入しましたのが84~85年ごろ。そのとき既にシリーズとして一緒にリリースされておりましたのでリナの「Stormy~」も、ビーの「My Reverie」も、その存在を知っていたのです。それを20年以上経て、手にし、こんなにも心を揺さぶられたのであれば、もっと早く聴いておけばよかったという思いと、いやいや、この歳になって音楽的経験を積んだからこそ、彼女たちの真価を、きちんと評することができるのだという思いが交差するのでございます。
さて、本命その2。これは何店かまわった中古LP屋、CD屋にはございませんで、未だ入手できずにおります。
これも上記、ビー・ウェインや、リナなどと同じシリーズ(コンセプトを同じくしたジャケット・デザイン)の作品で、ヘレン・フォレストというヴォーカリストの「Deep Purple」というアルバムなのです。
ヘレン・フォレスト(Helen Forrest: 1917-1999)
1939年、ビリー・ホリデイの後釜としてアーティ・ショー楽団に所属してから、彼女も息の長い活動を続け、70年代、80年代にもナイト・クラブで歌っていたのだそうです。このように実力が認められたアーティストが息の長い活動をしてゆける、そういった環境は、米国のもっともよいところだと思います。
ヘレン・フォレストのアーティ・ショー楽団時代の音源を編纂した24曲入りのCDを持っているのですが、それにも関わらず、アルバム「Deep Purple」に拘っているのかと云いますと、そのアルバム・タイトル曲が手持ちのCDには収録されていないのです。
是非、その「Deep Purple」をご覧になってください。
「Artie Shaw with Helen Forrest」。短いクリップですが、うしろにゆったりと引伸ばされた歌唱、とても心地よいのです。この動画と同じテイクではないでしょうが、それだからこそ、LPまたはCDで彼女がうたう「Deep Purple」を聴いてみたいと思っているのです。
それにしても、まったくヘレンというファースト・ネームが多いこと。ヘレン・ウォード、そしてジャズ・シンガーでは日本で一番人気があり、知名度が高いかもしれませんヘレン・メリル、その他オコネル、カーなど、いづれ菖蒲か杜若。
そして1917年生まれも多いですね。エラ・フィッツジェラルド、リナ・ホーン、ビー・ウェイン、ヘレン・フォレスト。彼女たちが10代後半になり、続々デビューしてきた1930年代後半、その同時代に若い日々を送ったならば、それはさぞかし幸せな世代であるかもしれません。あ、でも女の子を誘ってダンス・ホールへ行ったとして、演奏する生ビッグ・バンドに聴き惚れ、そして、登場してきた女性ヴォーカルに、ぽぉうっとしていたら、すぐに振られてしまいますね。やばい時代です。
posted by mniijima : Feb 15, 2008
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