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February 29, 2008
  hommage(2)

前々回のエントリーにて、樋口一葉へのオマージュが綴られました、芝木好子さんの短編「本郷菊坂」(『海の匂い』集英社文庫に所収、絶版)をご紹介いたしました。

ところで、今年1月に発表されました第138回の芥川賞、その受賞作、川上未映子さんの「乳と卵」も、樋口一葉へのオマージュが綴られているとうかがいましたので、文芸春秋3月号(2/10売り)での全文掲載を読んでみました。

本文の前に、川上さんへのインタビューが記事となっておりまして、そこで、樋口一葉は20歳のころ初めて読んで一石を投じられた感じがあった、あんな文章を見たことがなかった、また「奇跡の14ヶ月」と云われるドラマティックな人生にもぐっときた、のだと話しております。

ところで、川上さんはミュージシャンでもあるのですが、わたくしは存知あげませんで、今回の受賞で初めて彼女を知ったのでした。
今(CDが)売れているそうですね、という質問に、それ恥ずかしいのです、注文殺到、5倍の売り上げと云われても、いままで千枚しか売れていなかったから、それがたかが5千枚になったところで、、、、と正直に気持ちを表す彼女には好感がもてます。

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7:28 PM permalink | 文学 | comments (0) | trackbacks (0)

  失われた水辺の風景

hommageというテーマでエントリーをアップしている途中ですが、28日の新聞、夕刊を捲っておりましたら、パっと目に飛び込んできた写真がございました。
堂々たる、見事な、そして装飾の美しい橋。そしてその中央を路面電車が抜けてゆく。これは隅田川を日本橋浜町から、江東区新大橋へと結ぶ、旧・新大橋の姿でした。

この日の毎日新聞(東京)夕刊のグラフ・ページ「eye」では「失われた水辺の風景」と題し、上記、旧・新大橋、聖路加病院を背景に築地川、テアトル東京を背景に京橋と京橋川、佃の渡し、そして埋め立て工事中の楓川の各写真が掲載されておりました。

写真を撮影されたのは、都立日比谷図書館の資料課長でありました池田信氏とのこと(最終ポストは旧都立多摩教育会館館長のようです)。変わりゆく東京を1961年から72年まで、休日を使って記録し続け、その数、2万数千点におよぶライフワークであったと紹介がございました。

記事でも触れておりましたが、かつての東京は「東洋のベニス」と称賛され、幕末から明治初期に訪れた多くの外国人達を魅了したのだそうです。これは単に景観美ということだけでなく、まさに江戸期から築かれてきた文化であったわけです。
池田氏は、そんな過去を顧みない当時の風潮に危機感を募らせ、まだ残る面影を求めてシャッターを切っていったのだそうです。


その膨大なフィルムが2005年にご遺族より毎日新聞社へ寄贈され、このたび「1960年代の東京 路面電車の走る水の都の記憶」と題され、3月17日、同社より写真集として刊行されるとのことです。


追記: amazon.co.jpでは、08年2月29日現在、「1960年代の東京 路面電車の走る水の都の記憶」の予約を受け付けているようです。

【T.B. to aki's STOCKTAKING:「1960年代の東京」'10年4月14日】

3:17 AM permalink | news/時事 | 写真集 | comments (0) | trackbacks (1)

February 28, 2008
  hommage(1)

どうしようもない男女の業を描きました「洲崎パラダイス」の作者、芝木好子さんは、自作に自身を投影するとき、恭子という人物を充てています。短編「本郷菊坂」(『海の匂い』集英社文庫に所収、絶版)も恭子が主人公である自伝的要素を持った作品でございました。

浅草に産まれた恭子は、震災と戦争被災を経て、湯島に居を移します。そして変わりゆく東京の姿に憂愁の情を表します。
その戦後、女学校時代の友が、本郷菊坂の長屋に住みついたことで、恭子は、幾度か、其処を訪ねてゆきます。
そこで描写されます当時の長屋の詳細は、震災からも戦争からも被災を免れた、この明治期から在る長屋群の貴重な記録として読むことができます。驚くことに、この長屋の1室には床の間があったのだそうです。恭子の浅草時代からの記憶でも、路地の家に床の間があるのは珍しいことで、陋屋であっても見識があり、零落してここまできても、行儀よく住む人の家であると述べております。

その長屋は、本郷菊坂町七十番地。芝木さんの短編「本郷菊坂」は、ここから恭子によって、樋口一葉へのオマージュがじっくりと語られてゆくのです。

それは一葉が、この菊坂町七十番地に居を構えていた時期の、彼女の生活を、人生を振り返ってみます。
菊坂から小石川の安藤坂に在った中島歌子が主宰する「萩の舎」へ通ったこと、苦しい生計、田辺龍子の小説デビュー、そして自分も原稿料を当てにして小説を書く決心をすること、半井桃水との出会い、醜聞、そして決別。

芝木さんが、この短編を書いた、その70年前に、其処に確かに居た、ひとりの人を想い、そのころと変わらぬ路地に、2度の災禍を免れ、生き継いできた長屋を見て、そして綴った短編「本郷菊坂」は、下町で生まれ、下町を綴ることを生涯の仕事とした人の、強い想いが内包された、優しい文章でございました。

2:48 AM permalink | 文学 | 本郷 | comments (0) | trackbacks (0)

February 27, 2008
  お知らせ:gelatinesilverの更新(Feb 27, 08)

暗室技術紹介ブログ「gelatinesilver」にて、

冬場の液温管理(フィルム現像編)

というエントリーをアップいたしました。
プリント編」と同様、熱帯魚飼育用のヒーターを使用します。

11:54 AM permalink | general | comments (0) | trackbacks (0)

February 26, 2008
  お知らせ:gelatinesilverの更新(Feb 26, 08)

前回、暗室でのウェットプロセス、現像を2浴でおこなっている模様をご紹介いたしましたが、FB(バライタ)紙を用いた場合の、その後の工程を、わたくしの暗室技術紹介ブログ「gelatinesilver」のほうへアップいたしました。

FB(バライタ)紙の乾燥とフラットニング

参考になれば幸いでございます。

6:23 PM permalink | general | comments (0) | trackbacks (0)

February 25, 2008
  真冬の暗室、2浴現像

darkroom080223.jpg

狭い暗室が殊更たいへんなことになっております。左下から時計廻りに、現像液1浴目、現像液2浴目、停止がわりのリンス用の水、定着液、リンス用の水。
この時期、エアコンで室内温度をあげていても室温18度、床面温度14度くらい。そこで現像液2種と、定着液は、液温を20度以上に保つためにバットを二重にし、下側のバットに張った水には、熱帯魚用のヒーターを投入していますので、電源コードもバットの合間、狭いスペースに這っている状態でございます。
FB(バライタ)印画紙を使っておりますので、従来ならばもう1組のバットを増やし、定着も2浴させねばならないところですが、迅速アルカリタイプの定着液のおかげで、1浴で済ませております。

今月は、毎週末、このような状態でプリント作業をしておりますが、ようやっと2点ほど満足のいく仕上がりとなりました。
いまは紙のフラットニング(平坦化)中です。重しをかけたまま、あと1週間以上寝かせることになります。

(↓ 追記、アップいたしました。アナログ写真ウェットプロセスに関する内容です。)

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12:35 PM permalink | 写真技術 | comments (2) | trackbacks (0)

February 18, 2008
  ズラし、スカし、カワす。

最近、音楽ブログ化しているAcross the Street Soundsです(^^;
先週、2007年度のグラミー賞が発表され授賞式が行なわれました。最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、新人賞、すなわち主要4部門中の3部門、および女性ポップヴォーカル、ポップヴォーカルアルバムの各賞をエイミー・ワインハウスが独占することになりました。また米国へのビザが発給されず授賞式に参列、出演できない彼女のために英国からの中継でライブを届けるという異例もニュースになる熱狂ぶりが伝わってまいりました。

エイミー・ワインハウスは、日本での(国内盤)リリースが遅れ、英米に比べて知名度は今一歩伸びていないかもしれませんが、今回の受賞を機に、いきなりメジャー・トップのアーティストとして認知されるでしょう。ところがドラッグやアルコール依存症を始めとする、お騒がせアーティストとしても有名ですから、そういった面が先走りしており、また、声がサラ・ヴォーンに似ている、いや、ビリー・ホリデイだ、なんて騒がれて(サラとビリーは全然違うのにね)本来の音楽性をきちんと評価されていないような気がいたします。
ご存じない方は、誤解なきよう、彼女はジャズ・シンガーではございませんで、グラミー賞では「ポップ」カテゴリーでの受賞もありましたが、カテゴリーで云えば(モダン)R&Bの範疇でしょう。

さて、エイミー・ワインハウスの音楽で、もっとも魅力的なのは、やはり彼女の声の質なのではないでしょうか。太い声ですが、張りがあり、わたくしはとても好きな声です。
そして、なにより恰好いいのが、あの、リズムのズラし、スカし、カワし、彼女の真骨頂ともいえる表現で、それがとても面白く、気持ちの良い効果を与えていると思われます。

(本エントリー末尾に、追記挿入いたしました。 08年2月24日)

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7:47 PM permalink | music | comments (12) | trackbacks (0)

February 15, 2008
  20世紀の歌姫たち(4)

前回記しましたリナ・ホーン、76年リリースのアルバム「Lena: A New Album」は、中古LP屋で購入したのですが、実は、当初それを探し求めて店をまわったのではなかったのです。
本命は2点ございまして、それらを探しにジャズ・ヴォーカルの棚からスコンスコンスコンとジャケットを捲っておりますと、スカートの裾を翻したリチャード・アヴェドン撮影によります恰好いい白黒のジャケットが顔を出しまして、お値段も安かったものですから、すかさず引き上げて脇に抱えたのでした。

それでは本命がなにであったかと申しますと、まず1点、やはり1930年代から活躍しはじめましたビー・ウェイン(Bea Wain: 1917-)の「My Reverie」。

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7:42 PM permalink | jazz | comments (0) | trackbacks (0)

February 14, 2008
  20世紀の歌姫たち(3)

マイ・ファニー・ヴァレンタイン。この高名な曲は、1937年、ブロードウェイ、シューベルトシアターにて初演されたミュージカル「Babes in Arms」内の1曲。もちろんロジャース(曲)、ハート(詩)のコンビによる作品(台本は二人の共作)で、1939年にはジュディ・ガーランド、ミッキー・ルーニー主演の映画版が公開されております。

この名曲は、その美しさ故に、天文学的数字に至るほど歌われ、そして名唱と云われるテイクも、これまた膨大な数にのぼるでしょう。斯様な存在の楽曲ですが、先日、とても新鮮な録音に出会いました。

レビューソング(1)(2)(3)にてご紹介いたしました、20世紀を代表するエンターテイナーで、ヴォーカリストのリナ・ホーン。わたくしが「Stormy Weather」という「RCA女性ヴォーカル1000シリーズ」のCDから得ました感動をお伝えしたく、これらの記事としたのですが、そのエントリー(2)にて、今後聴いてみたい彼女のアルバムということで、1976年リリースの「Lena: A New Album(邦題:バラードの夜)」という作品を挙げさせていただきました。

実はそれを記した直後、中古LP屋で、そのアルバムを見つけ即購入したのでした。

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11:59 PM permalink | jazz | comments (6) | trackbacks (0)

February 13, 2008
  昇華サレルニ必要ナコト(2)

前エントリーにて、今回、清家冨夫さん作品展の主題となっております、イングランド、ブライトンのWest Pierについて、簡単にご説明をさせていただきました。
嵐と火災により倒壊しました19世紀の建築物。それは世界的にも珍しいPleasure pierで、その廃墟を濃い霧の日に見てみますと、徒ならぬ光景が垣間見え、それを機に霧がでた日を選んで撮影を繰り返したのだそうです。
このことを単純に受け止めますと、なんとロマンティックな、まさに19世紀的な、と思ってしまいます。人類が造ったものが、老朽化し、ついに自然の力に抗えなくなった、その姿、その刹那を切り取った、なんてことは誰もが云えることですが、わたくしは、ここからも清家さんの作品づくりに、透徹した意志を感じるのです。

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7:30 PM permalink | 写真展 | comments (4) | trackbacks (0)

February 11, 2008
  昇華サレルニ必要ナコト(1)

芝浦のP.G.I. (Photo Gallery International)へ行かれたことのある方はお解かりでしょう。そこでの展覧会、作品は2階のスペースを使って展示されております。併せて関連作品が1階のショップ・スペースにも展示されまして、それらは主展示を見るにあたっての心の準備と云いましょうか、緊張感を高める効果があるように思えます。

昨年(2007)3月に、開かれました清家冨夫氏の作品展「LIGHT ON DUST - Glynde Forge -」へ伺ったときも、例に漏れず、1階にはいくつかの作品が展示されておりました。
そのうちの1点に、わたくしは、たいへん惹かれましたことを今でも思い出すことができます。
海に伸びた桟橋が、視線の先では、無惨に倒壊し、その鉄骨組みが、海中に没している、海は荒れ、濃霧で少し先の視界も不鮮明となり、視界コントラストは甚だ低い。
これは英国に在る倒壊した桟橋を古いフォールディングカメラを使って撮影されたとのことでした。

その倒壊した桟橋の写真が、ポストカードとなって、わたくしのところへ配達されました。

清家冨夫氏の新作品展「WEST PIER」の案内でございました。

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February 6, 2008
  20世紀の歌姫たち(2-2)

清水の舞台から飛び降りる心地で購入した2枚組み、2組のLPレコード、「ボズウェル・シスターズ 厳選26曲集」と、「コニー・ボズウェル・リザーブド/ブルー・ムーン」。

「ボズウェル・シスターズ 厳選26曲集」は、現在も多くのヴォーカリストによって歌われております所謂スタンダード・ナンバーが、スタンダードと化す黎明期におきまして効果的なコーラス・アレンジを施されて、多く収録されております。

デューク・エリントンの「ソフィスティケイテッド・レディ」は、コーラス・アレンジ、コニーのソロと、ボズウェル・シスターズの魅力がもっとも表れた内容であるでしょう。

ナット・キング・コールのレパートリーとして有名な、あまりに有名な「スターダスト」。そのキング・コールに歌われる以前の姉妹による「スターダスト」は劇的なバンド・アレンジを伴いながら、ゆるやかなコーラス、ときおり挿入されるスキャット、と緩急を効かせ、さらにベルツリー効果などを加え、とてもゴージャス。

エリントン、「スイングしなけりゃ意味ない」の連射フレーズの圧倒的な恰好よさ、などなど魅力的な歌唱が揃っております。

また、ロックンロール誕生以前の「Rock And Roll」。もちろんロックではありません。これは1934年の映画「Transatlantic Merry-Go-Round(薔薇色遊覧船という邦題があるそうです)」の主題歌でサウンドトラックも大ヒットしたのだそうです。

「George White's Scandals (Part 1~2)」は、ボズウェル・シスターズに加え、ビング・クロスビー、フランク・マン、ミルス・ブラザース、コニーのソロなどによって歌い継がれてゆく楽しい楽曲。トミー・ドーシーのトロンボーン・ソロも恰好いいです。

またチャールストン・アレンジの「Everybody Loves My Baby(みんな彼女が好き)」での3人によるスキャットの見事さも必聴でしょう。

と枚挙に暇なくなってしまいますので、「コニー・ボズウェル・リザーブド/ブルー・ムーン」からは2曲だけご紹介いたします。

LPの巻頭を飾りますのが、有名な「Begin the Beguine」。Aメロのリピートをフェイクを交え、転調後も陰影をよく表す。サビの力強さ。この難しいメロを気持ちよくこなしてゆくコニーの歌唱は、いや、もう、まったく、あっぱれです。

そしてリナ・ホーンも彼女の代名詞的に歌っておりました「Stormy Wheather」。レナと同じ1941年にレコーディングされたテイクです。コニーは、1コーラス目をあっさりと歌い流し、2コーラス目からだんだんと劇的に表現を高めてゆきます。

エラ・フィッツジェラルドが憧れ、真似をしたという、コニーの唱法、たしかに通じるものがございます。

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