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January 20, 2008
ヴィブラートを効かせた古典的な発声に包まれ、LPが登場する前のアナログ・レコードのフォーマットでありますSPからトランスファーされた柔らかな音源が、心地よく耳に届いてきます。
前回ご紹介致しました、リナ・ホーン。
彼女が1940年代にレコーディングしたテイクを集めましたCD「Stormy Weather」(LP時代にもリリースされていると思います。)は、収められた楽曲の良さも然る事ながら、秀逸なヴォーカルも存分に楽しめまして、彼女が20世紀を代表するエンターテイナーとして米国のショー・ビジネス界で活躍できたことが当然のように伝わってまいります。
リナ・ホーンは映画コットンクラブのリラと同様、同クラブのコーラスガールとしてキャリアをスタートさせます。そこでソロ歌手としての機会を与えられ、その後はミュージカル、映画、ラスヴェガスやブロードウェイでのワン・ウーマン・ショー、レコーディングなどなど幅広く活動を重ねてゆきます。
ところが、彼女はヨーロピアンとアフリカンの混血であったことで、双方からの差別をずいぶん受けてきたそうなのです。これも映画の中のリラのキャラクターと重なりますね。
斯様なキャリアのなかでの代表作と云いますと、アルバム・タイトルでもございます「Stormy Weather」。これはコットンクラブの人気歌手、キャブ・キャロウェイのためにアーレン(曲)、コーラー(詩)という最強のコンビが書き下ろしたもので、リナもクラブ歌手時代から歌い続けてきたのだそうです。
柔らかく、音をつないでゆく歌い方は、音符にすべてスラーが付いているのではないかと思えるほど。ああ、心地よい。
ところで、彼女はジャズ歌手ではありませんが、それでもジャズ・フィーリングを獲得していると解説にはあります。ところが、どうもわたくしにはそのように聴こえませんでした。有名な「St.Louis blues」も後ろに粘るのですが、清々しさが払拭できないのです。ところがそのさっぱり具合が逆に心地よかったりしまして、これはジャズ云々より、もっと幅の広い歌唱として聴いていったほうが彼女の魅力をよく捉えることができそうです。
アルバムではこれもキャブ・キャロウェイのナンバーで「Ill wind」、このちょっと怖い感じのするメロをたっぷりと引伸ばしてゆく、レビュー歌手としての真骨頂が垣間見れますし、デューク・エリントンの名ブルース「I ain't got nothing but the blues」を少し舌足らずにうたう楽しさ。
(「Stormy Weather」と同じ)アーレンとコーラーによるリナのための書き下ろし「As long as I live」で、Maybe I can't live to love you / As long as I want to~とまるで音遊びをしているかのような流れ。
ガーシュインの名バラードと云われる「The man I love / 私の彼氏」は平うた部(Aメロ)もサビもメロディが単調なため、上手い歌いこなしが要求されますが、詩によくマッチさせた響かせ方をして飽きさせません。
ロジャース(曲)、ハート(詩)のこれまた黄金のコンビによる「Where or When」。サビ後半の素晴らしいメロディを、少し後ろにぎみにノッてmet before and laughed before and loved beforeとうたう小気味良さ。
そしてこのアルバム内でチャーリー・バーネット・オーケストラという楽団が「Haunted town」「The captain and his men」という2曲だけを伴奏しているのですが、このビッグ・バンドの縦の線のあわせの見事さ、とても気持ちよいのです。リナもしっとりと歌う「Haunted~」、スタッカートにつないでゆく「The captain~」ともども素晴らしい。
まったく、あっぱれなアルバムなのでございます。
こうして手放しで褒めちぎることができますリナ・ホーンは1917年生まれですから、今年(2008)91歳。いまでこそ現役を引退し、静かに余生を過ごされているようですが、90年代までは精力的に活動をされていたようです。今後もっともっとリナ・ホーンのアルバムを聴いてゆきたいと思っているところですが、注目している作品は94年リリースの「We'll Be Together Again」。これはビリー・ストレイホーンとデューク・エリントンのソング・ブックとなっているそうです。
そして76年リリース「Lena: A New Album(邦題:バラードの夜)」。裾を翻した姿が格好良いリチャード・アヴェドン撮影によりますジャケットに魅せられます。ホーン、60歳を迎えようとしているときの1枚で、良い評判を聞いております。
さて、このリナ・ホーンのCD「Stormy Weather」は、BMG JAPANが企画しました「RCA女性ヴォーカル1000シリーズ」の1枚で、たった1000円で購入できました。
この企画シリーズは全20タイトルリリースされており、20人の女性歌手のなかなか入手困難であった作品がリストされているのです。次回は少しこの企画ものについて書いてみたいと考えております。
(続く)
posted by mniijima : Jan 20, 2008
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comments
昨夜のライブで「The Man I Love」を歌いました。
11月のライブ時にリクエストいただいていたので、楽譜を見つけて 歌いました。
その楽譜にはバースが無かったので、こちらで読ませて頂くまで バースの事を知りませんでした。
それにしても「単調なため 上手い歌いこなしが要求される」って 本当にそうですよね。
聞いた時に簡単そうな曲ほど 難しい事が多いです。
このリクエストを頂くまで、大好きな曲なのに 歌う事は避けていましたもの!
これを読んでいて やっぱり買いたくなりました。
他の女性歌手のを合わせて買おうかなと思っています。
by 光代 : January 21, 2008 1:57 PM
あ、そうか! スタンダードにおいて、verseは導入詩の部分を指すんですよね。
ロック/ポップスの場合、平うたの部分を指すので、そのまま使ってしまいました。混乱させてごめんなさい。平うたの部分のことです。
で、きれいなメロなのですが、単調というのは、光代さんもお感じになられていたのですね。
こういう曲はほんとうに難しいと思いますが、昨日はお披露目されたとのこと。とても充実されたライブのようでしたので、この曲も感触があったのではないかと想像しております(^^)
次のエントリーのアップ、少しお待ちくださいね。
by M.Niijima : January 21, 2008 3:01 PM
いつもお久しぶりですみません。(汗)
お元気ですか。
ふと気になって訪れてみました。
腰の痛みのほうはいかがですか?大変でしたのね。
ご無理せずに写真ライフを楽しんでください。(^^)
さすがに音楽の話題が充実しておりますね。
お仕事柄、もしかしてピタゴラス音階を聴くことが無意識に多いのでは?
あの音叉って特別なのですよねえ。
私もあの音を聴いているうちに…不思議世界に。(笑)
冷え性とか治っちゃいました。
音のパワーって偉大ですねえ。
by kumiko : January 21, 2008 3:12 PM
kumikoさん、こんにちは。
温かいお気遣いのお言葉を、ありがとうございます。
ところでピタゴラス音階なんて、よくご存知! と思いましたら、そういう音叉があるのですねぇ。そしてセラピーでも活用されているとは、初めて知りましたです。
確かにピタゴラス音階、または純正律(中国では三分損益法と言います)、は理論的にもっとも協和する振動を捉えたものですから、心地よいのですね。
ところが、これらの調律は、ハ長調とか、ロ短調とか、全部で24のうちの選択された、ひとつの調に対してだけ有効なのです。
現代の楽器は全ての調で演奏されること(またひとつの楽曲内で、いくつかの調を使う=転調されること)が前提ですので、純正律では調律できないのです。現在では平均律という、全ての調で充分協和するように、振動を12で割った律で調律しています。
たとえその12平均律であっても、よい楽器を、よく調律して、よい場所で、よい演奏家が、演奏しますと、それはとても美しく、わたくしには充分なヒーリングになりますです。
どうぞkumikoさんも良い音楽を楽しんでくださいませ。
by M.Niijima : January 21, 2008 5:12 PM
実は私も最初はピタゴラス音階なんて全然知らなかったんです。(笑)
偶然、聴く機会がありまして「なんて不思議な音なんだろう」と思って、しばらく毎日のように聴いてました。
それが始まりだったのかもわからないのですが、チャクラというのでサードアイというのが開いちゃったんですよ。(゚ロ゚;)
なんでもniijimaさんがお書きになって下さった協和する振動が体に影響を与えるようですね。
あとでそれがヒーリングの世界のことだと知りました。
おかげで今はちょびっとサイキック体質になってしまいました。
そういうタイプだったんですね…。
なので、音楽の「波」の素晴らしさがひしひしとわかるように。
色々とお勉強になりました。
これからも音楽を楽しみたいと思います。
ありがとうございます。(^^)
by kumiko : January 21, 2008 6:46 PM
音楽はその発展の途中で、宗教と大きく関係することになります。西洋音楽は教会の庇護の元に発展してきましたし、わたしたちの国にも声明という仏教音楽が存在し、それは最澄や空海の時代まで遡ります。
どれも教会や寺院の荘厳な響きと合わせて人々の霊性に大きく影響するように作曲されるわけですから、サイキックな要素というのは、音楽が本来もっている可能性のひとつなんだと思います。
また、協和音程に限らず、ちょっとズラしたり、単純にオクターブを5分の1にする旋法、すなわち(西洋音楽的な)不協関係にあっても癒しの効果は充分にあると思っています。kumikoさんには以前ガムランの音楽をご紹介したかと思いますが、あれは微妙な不協和が重なって得られる独特の「うねり」の中に仕掛けがあるのではないかと思っています。事実わたくしは、あれでとても心地よくなりますしね。そしてガムランはまさにバリ島における敬虔な宗教音楽でもあるのですね。
音楽から得られるものって、不思議で、そしてとても素晴らしいものだと思います。
by M.Niijima : January 21, 2008 7:51 PM
済みません(・・;)
平歌ってどういう意味ですか?
これも知りませんでした、聞いた事の無い言葉です。
ほんと! 何も知らないんです,ごめんなさい。
by 光代 : January 22, 2008 1:23 AM
いえいえ、同じことを指していろいろな用語が混在していますから判りにくいのですよね。普段の演奏仲間とコミュニケーションがとれていれば良いのですから、あまり気になさらなくて大丈夫ですよ。
The man I loveでは、
Maybe I shall meet him Sundayからがサビなんでしょうから、
平うたは、Someday he'll come alongから、I'll do my best to make him stayまでと、
He'll look at me and smileから、I know we both won't say a wordまで。
この部分を普段は、何と云っていらっしゃいますか? Aメロとか?
by M.Niijima : January 22, 2008 2:45 AM
分かりました。普通に歌の所ですね!
皆さんは Aメロとかおっしゃってますが 私は何もいません。その辺りを打ち合わせる事が無いと言うか・・・・。
「イントロは コードだけで、バースをルバートで歌って
その後 ピアノはインテンポで入ってください」とか
エンディングについて打ち合わせるだけとか・・・・・。
「The Man I Love」は サビの後も 全く同じメロディーが続くので エラなどはとても自然に少しずつ変えていて その構成力の素晴らしさに感動しています。
私のは ずっと同じです・・・・・・・(;;)
でも,歌詞は違います!!・・・・って 当たり前でした!ちがわないと困りますね。
by 光代 : January 22, 2008 7:52 AM
よかった。Aメロです(^^;
これは譜に書くとき、五線の上のほうにイントロは INTとか、INTROを四角で囲う。そして歌からは 四角(で囲った)Aと表記。歌の楽想が変われば四角Bとか、そしてサビ部は四角C(四角Bからサビの場合もありますね)とか、間奏は四角Dとか、記されているのを見たことがあると思います。
Aメロというのは、四角Aの部分だから、そういう言い方をしているのですね。
ですから、イントロからピアノだけでいきます。Aメロの最後1小節からドラムとベースはいってきてください。なんて指示もあるかもですね。あ、サビ前1小節からと言ってもいいですね(^^;
>「The Man I Love」は サビの後も 全く同じメロディーが続くので
そうですね。ですから構造的に AABA と考えることも可ですよね。(BがMaybe I shall meet himからのサビ)
これだけリピートする同じメロをどう扱うのか、将来工夫してゆけたらいいですよね。
リナ・ホーンのディクションなども聴いてみると参考になるかも、です。
by M.Niijima : January 22, 2008 11:52 AM
今日 大阪の道頓堀にある「セントジェームス」と言うお店に行きました。昨日のセッションで「The Man I Love」を歌ったのです。
そして,今日同じようなお話をしていたら ピアニストの田中さんが 「ずっとずっと素直にそのまま歌ってたら良いよ。自然に変わってくるから」とおっしゃってくださいました。
そしてぼちぼちいこうと思いました。
そのうちに いい感じになって欲しいものです。
リナ・ホーン買いました。
明日届くと思います。
by 光代 : January 23, 2008 12:51 AM
光代さん、
意識しないで、自然に変わってくるのに任せる。
とても良いアドバイスをいただいたのですね。
歌うキャリアは自然と現れてくると思いますから、ぼちぼちいこう、ってイイ歩みかたではないでしょうか。
わたしは、どうも結果を求めてしまいますので、なかなかそういったことができないでいます。
by M.Niijima : January 23, 2008 3:47 AM