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December 12, 2007

  いま、そこに咲く花(15)

師走に追われ、ばたばたしておりますと、あっというまに日にちが経ってしまいます。12月5日に記しました外堀の紅緋に染まった桜葉は、ほとんど舞い落ち、今も木に残るものたちは既に深緋を超え、茶に近い赤銅色となり、風に震えております。

神楽坂へ訪れるとき、逢坂よりひとつ東側の「ゆ嶺坂(ゆは"まだれ"に"臾"を書きます)」を登ってゆくのが常になっております。車一台分の幅に、右にキリスト教会を、左に瀟洒な邸宅を見ながら、かなり急な坂を登ることになります。
直接神楽坂下から、神楽坂を登っていってもよいのですが、このゆ嶺坂がただただ好きなのです。

坂を登りきると若宮町。都心の限られた土地を有効に使ってモダンに建つ若宮八幡がございます。
そして今度はゆるりと下り、その先の丁字路を右に折れますと、右側には居酒屋や小料理屋などが並ぶ横丁となり、左側にはマンションが建っているのですが、暖かな季節には、どこの部屋からか、開いた窓からときどき三味線の音が漏れ聴こえるなかなかな処なのでございます。
その先に熱海湯という銭湯がございまして、向かって右側に私有地のような空間が在りますが、其処へ思い切って進入してみますと、さらに奥へ延びる階段路地が出現します。
わたくしはこの階段路地が好きで、何度も撮影をしております。夜間、からんからんと桶がタイルを打つ音や、ばさっーと湯を浴びる音が、このうえなく心地よく耳に入ってくる処で、三脚を立て、カメラを階段上に向けてセットするのです。

この熱海湯脇の階段の右側は和風の居酒屋ですが、左側はどこか欧州的な雰囲気がございまして、訪れたことはございませんが南仏の古い街の路地を想像させてくれるのです。
されどコート・ダジュールの波音は聞こえず、ただ爺いや、婆あやの湯浴みの音だけが響くばかりなり。

階段を登りきりますと、路地幅はさらに狭くなり、そして左へ直角に折れます。板塀に挟まれたところを進みますと、他方から向かってきます、別の、少し幅のある路地にぶつかります。その交差した向かいに見番があり、隣には稲荷の小さな祠が建っております。その先にはすぐ神楽坂下から登りきり、既にたいらになった後の神楽坂主街路の賑わいが見えてくるのです。

posted by mniijima : Dec 12, 2007

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comments

お話を聞いているうちに私も行ってみたくなりました。いえ、行ったことはあるんですがおっしゃるような粋な場所があったかしらなどと考え考えお話をお聞きしてました。機会があったら又行ってみようと思います。

by shoko : December 13, 2007 8:46 PM

shokoさん、
訪れてみたくなったとお寄せいただきましたこと、このエントリーへのもっとも嬉しいコメントです。
神楽坂はとても素敵な街で、昨今はブームでもあったらしいのですが、街で発行しているフリーペーパーなどでもブームもだいぶ下火になってきたということを、ちらほら伺うようになって参りました。
これからは、少し静かになって、ほんとうにこの街が好きな方々の集まる処になってゆくのではないかと思います。
また是非お出掛けになってください。
案内役にでも馳せ参じましょうか。

by M.Niijima : December 14, 2007 10:31 AM

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