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December 31, 2007
  「うた」

この大晦日、ひさびさに家族で紅白歌合戦を見ています。番組自体何年ぶりに見るのでしょうか。調べてみますと、1999年の回以来でございました。それをよく憶えているのは三波春夫さんが出場し(最後の出場であり、その15ヵ月後に他界されました)、声の衰えは隠せなかったものの、「お客様は神様です」と繰り返した方らしく最高のエンターテインメントを披露されていたこと。そして天童よしみさんが「川の流れのように」を歌ったこと。天童さんは上手ですね。声の張り、豊かな声量、安定したピッチとリズム。どれをとっても不足ない、最高の演歌歌手でしょう。
ただ残念なことに、その天童さんも往年の美空ひばりと比較しますと、たったひとつだけ、足りないものがあるようです。

美空さんが15歳で歌った「リンゴ追分」の凄まじさ、23歳での「哀愁波止場」、25歳「ひばりの佐渡情話」などなど、また別の表れかたでは28歳時にリリースされました「ひばりジャズを歌うーナット・キング・コールをしのんで」というアルバムの中での「慕情」など、日本大衆芸能を代表するようなメロディから、米国のスタンダードまで、どうしようもなくわたくしの心を捕らえます。
天童さんは、その素晴らしい技術でもって当代最高の演歌歌手だと思いますが、美空さんは、楽曲のジャンルが如何にあれ、それがジャンルを超えた「うた」になっていること。その卓越した歌唱にしびれるのです。


もうすぐ年越しです。わたくしは時期をはずしてしまいましたが、一昨日に手にいれました美空ひばりさんのクリスマスソング、チューブラベルの音、ストリングス編曲が冬景色を想起させます「ひとりぼっちのクリスマス」のやわらかな「うた」を聴きながら平成20年を迎えたいと思います。(braryさん、素敵な曲を教えてくださって、ありがとうございます!)

みなさまもよい御年をお迎えください。

11:50 PM permalink | comments (4) | trackbacks (0)

December 14, 2007
  いま、そこに咲く花(17)

いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(6)

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"神楽坂の光と陰(6)/熱海湯通り"

July '07, @Kagura-zaka 3, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed D-72(1:3)

この印画紙は現像液の希釈率に敏感に反応して、色調がだいぶ変わりますね。
前エントリー参照

9:38 PM permalink | comments (8) | trackbacks (0)

December 13, 2007
  いま、そこに咲く花(16)

いま、そこに咲く花/神楽坂の光と陰(5)

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"神楽坂の光と陰(5)/熱海湯脇階段"

July '07, @Kagura-zaka 3, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 50mm f1.4 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 1600, dev in Kodak X-tol (1:3)
Kentmere Fineprint VC, FG Warmtone, dev in Home brewed D-72(1:2)

1:48 AM permalink | comments (0) | trackbacks (0)

December 12, 2007
  いま、そこに咲く花(15)

師走に追われ、ばたばたしておりますと、あっというまに日にちが経ってしまいます。12月5日に記しました外堀の紅緋に染まった桜葉は、ほとんど舞い落ち、今も木に残るものたちは既に深緋を超え、茶に近い赤銅色となり、風に震えております。

神楽坂へ訪れるとき、逢坂よりひとつ東側の「ゆ嶺坂(ゆは"まだれ"に"臾"を書きます)」を登ってゆくのが常になっております。車一台分の幅に、右にキリスト教会を、左に瀟洒な邸宅を見ながら、かなり急な坂を登ることになります。
直接神楽坂下から、神楽坂を登っていってもよいのですが、このゆ嶺坂がただただ好きなのです。

坂を登りきると若宮町。都心の限られた土地を有効に使ってモダンに建つ若宮八幡がございます。
そして今度はゆるりと下り、その先の丁字路を右に折れますと、右側には居酒屋や小料理屋などが並ぶ横丁となり、左側にはマンションが建っているのですが、暖かな季節には、どこの部屋からか、開いた窓からときどき三味線の音が漏れ聴こえるなかなかな処なのでございます。
その先に熱海湯という銭湯がございまして、向かって右側に私有地のような空間が在りますが、其処へ思い切って進入してみますと、さらに奥へ延びる階段路地が出現します。
わたくしはこの階段路地が好きで、何度も撮影をしております。夜間、からんからんと桶がタイルを打つ音や、ばさっーと湯を浴びる音が、このうえなく心地よく耳に入ってくる処で、三脚を立て、カメラを階段上に向けてセットするのです。

この熱海湯脇の階段の右側は和風の居酒屋ですが、左側はどこか欧州的な雰囲気がございまして、訪れたことはございませんが南仏の古い街の路地を想像させてくれるのです。
されどコート・ダジュールの波音は聞こえず、ただ爺いや、婆あやの湯浴みの音だけが響くばかりなり。

階段を登りきりますと、路地幅はさらに狭くなり、そして左へ直角に折れます。板塀に挟まれたところを進みますと、他方から向かってきます、別の、少し幅のある路地にぶつかります。その交差した向かいに見番があり、隣には稲荷の小さな祠が建っております。その先にはすぐ神楽坂下から登りきり、既にたいらになった後の神楽坂主街路の賑わいが見えてくるのです。

1:07 PM permalink | comments (2) | trackbacks (0)

December 6, 2007
  いま、そこに咲く花(14)

この季節、紅緋に燃え上がるそめいよしのの木々を、もう何年も見ていながら、それらを写真に撮ったことはございませんでした。なんと云いましょうか、色といい、今にも枝から、はらり、としそうな危うげな緊張は、美としての泰然さをそこに取り付く島もなく孕んでいることが、撮る欲求を抑制しているのだと思います。そうして斯様な美に触れますと、わたくしは、どこかが欠如したもの、またはどこか過剰なもの、撮りたいと思うのはそういったものなのだと殊更明確に気付くのでした。

さて、九段で働くわたくしが神楽坂へ赴くとき、新見附橋を渡り、牛込濠に沿い外堀通りを北東に向かいます。もちろんその道程はささやかな四季を享受しながらの歩みになります。
外堀通りの向こうには牛込の台地が聳えているはずですが、通りに面したビルにより台地が迫っていることはあまり意識できなくなっております。ところが新見附橋と、JR飯田橋駅西口がございます牛込橋の中間あたりで、わたくしは通りを横断するのですが、その向かいには台地への上り坂、逢坂がございまして、其処だけ台地への登り口がぽっかりと開いているように感じられます。

そして此処、逢坂への登り口は日仏学院への入口にもあたっております。
午後、このあたりを歩いておりますと、フランス人の子どもが恰好のよい自転車に乗って先を走るお母さんの後ろを一所懸命に追いかけていたり、おそらくはお手伝いさんであるアジア系の女性に連れられ歩く姿をよく見ることがございます。
実際、逢坂上などの牛込の台地には多くのフランス人が住んでいるのです。これは牛込濠を挟んだ対岸、千代田区富士見にリセ・フランコ・ジャポネ・ド・トウキョウ、すなわちフランス語ナショナル・スクールが在ること(在日仏人の家族に欠かせない環境でありますから)に依ると思います。

7:33 PM permalink | comments (0) | trackbacks (0)

December 5, 2007
  いま、そこに咲く花(13)

かつての江戸城、そのもっとも外側を囲んだ堀を外濠(そとぼり)と呼んでおります。現在そのほとんどが埋められてしまいましたが、濠の北東部を担っておりました神田川を除く部分では、JR四谷から飯田橋にかけまして、市ヶ谷濠、新見附濠、そして牛込濠が、そして赤坂見附近く、ホテル・ニュー・オータニの裏にもわずか、残っております。
わたくしは平日の毎朝、そのうちの新見附濠と牛込濠を見ながら通勤しているのですが、此処では濠に沿って花吹雪を舞うそめいよしのの花弁が水面の縁を埋め尽くす春や、流れのない濠ならでは藻の繁殖によって木々の葉々より濃い常盤緑に水面を染める盛夏などなど、都心にありながらささやかな四季の情趣を楽しむことができるのであります。

今週、この濠沿いに並ぶあまたのそめいよしのの葉が、ようやっと紅緋に染まってまいりました。濠の辺や、歩道に舞い落ちた葉のなかには猩々の緋にまで、その色を深めたものもございました。
桜花爛漫のころ、ほとんど白に近い薄桜色の花弁を咲き誇ったこれらの木々が、老翁無双の名人が締める調べの緒のごとく、最後の情念を燃やすかのような色を見ることで、わたくしは晩秋から初冬への季節のうつりを感じ入るのです。

2:46 AM permalink | comments (2) | trackbacks (0)