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October 12, 2007
アート・フォト・サイト・ギャラリーへ清家冨夫さんの展示に伺いましたら(前回エントリー)、ハービー山口さんの個展の案内が置かれておりました。場所は中目黒とのことでしたので、そこを辞した後、学芸大学駅まで歩き、東横線に乗って向かったのです。
こちらも初めて訪れる処で、目黒川沿いの洒落た一角にございます「CASPER'S Gallery」という2006年にオープンした、まだ新しいギャラリーです。
わたくしが幼少のころ、父の友人が目黒区東山におり、渋谷区鉢山の自宅から上村坂もしくは西郷公園脇を降りて、目黒川、そして山手通りを超え、よく遊びに行ったことを思い出します。当時、昭和40年代前半(1960年代後半)ですが、目黒川は鼠色の汚水が流れ、ところどころ泡が立ち、腐臭がひどく、橋を渡ることがとてもとても嫌であったと記憶しております。
それがよくぞここまで水質が回復したと感じたのは、いまから10年ほど前でしょうか。そして、おそらくそのころからでしょう、この目黒川沿いに洒落た店が出来始めたのは。
さて、ハービーさんの写真展は「1989年東欧 真冬に咲いた花」ということで、壁崩壊直後のベルリン、ビロード革命真っ最中のプラハで撮影されたものを中心とした展示でございました。
ベルリンに限らず、全世界的な東西分断の構造は「変わらない」と思っていましたので、ニュースから流れる映像を見ては、驚きを隠せなかったことを思い出します。
写真はそのような東欧のマスな姿を感じさせるものではなく、より個に焦点をあてた印象が強くでるような構成。時代が変わろうとしている真っ只中の個の姿です。
そのような作品群を観ながら、わたくしは唯一知る東欧出身者、旧東ドイツ、ドレスデンに生まれた音楽家T・Rのことを思い出しました。彼はある日、わたくしが未だ訪れたことがない東欧の街の様子を語ってくれたのです。ドレスデンを始めとする東欧には中世からの美しい街並みが在り、そして社会主義時代の無機質な姿のアパートメントや団地が並列している。さらに最近では西からの文化、ビジネスが恐ろしい勢いで流入し、例えば街中にコカ・コーラなどの看板が突然と聳え立つようになった、のだそうです。この話しを聞いたのは1994年か、95年頃のことです。
そういった状況下で、彼ら東欧人は、あらためて(ナショナリズムという言い方に誤解が生じるならば)アイデンティティを構築する必要に迫られていると。
ところで、毎年、または年に数度と活発に写真展をされていらっしゃるハービー山口さんの展示にはずいぶん久しぶりに伺ったのですが(前回わたくしが訪れたのはHit Onさんが運営されているアートスペース・モーターでのルクセンブルグを撮った展示だったと思います。)、温かく接してくださるそのお人柄はいつもと変わらずでした。
この日も、古くからのファンであるという女性と、ハービーさんの作品を初めて観るという方と談笑されておりました。話題が代官山同潤会アパートのことになり、初めて観にこられた若い女性は(同潤会アパートが)青山に在ったのは知っていましたが、代官山のそれは知らないと云います。するとハービーさんは、ギャラリーに用意してありました「PEACE」というご自身の写真集のページを開き(アップリンク刊の伝説的写真集「代官山17番地」ではございませんでした)当時の代官山アパートのことを教えていらっしゃいました。
そこで会話の中に入れていただき、わたくしは昭和40年代前半にアパート敷地内にあった保育園に通っていたことをお話ししたりしまして、楽しい時間となったのでした。
(ハービーさんの写真集「代官山17番地」について、そしてわたくしの同アパートに関わることは、後日あらためてエントリーしようと、実はかなり以前より計画しており、原稿もかなり下書きできているのです。
それはいずれまた。)
東欧は自由と資本主義経済を手中にしましたが、何か失ったものはないのでしょうか。
中目黒は川の水質がかなり回復し、お洒落なビジネスエリアと、人々が憩う場所を手に入れましたが、これまた失ったものはないのでしょうか。
代官山は同潤会アパートと、そこに住む人たち、集う人たちを失いましたが、代わりになにかを得られたのでしょうか。
ギャラリーを辞した後、そのようなとりとめのないことを考えつつ、中目黒駅に向かって、もう葉はたくさん虫に食われ、いまにもハラハラと舞い落ちてきそうな桜の木が立ち並ぶ目黒川沿いを歩いたのでした。
「1989年東欧 真冬に咲いた花」ハービー・山口写真展
@CASPER'S Gallery(中目黒:地図)
2007年10月2日(火)~10月14日(日) 11:00~19:00、最終日は17:00まで
posted by mniijima : Oct 12, 2007
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comments
ハービーさんとお話できたなんていいなあ。
僕だったら、緊張しちゃって、シドロモドロになってたかも。
僕は、京都でのハービーさんの写真展に行った事があるのですが、その時に「peace」を購入しました。僕にしては珍しく買った写真集でもあります。
社会主義(だった)の国の町並みは、やっぱり看板が少なくってすっきりした感じなのでしょうか。
そういう町並みが、資本主義化されていくのは、ちょっと寂しいような気がしますね。これは、そこに住んでいない人間の、勝手な思いですけどね。
by おおえ : October 12, 2007 11:06 PM
行ったことありませんが、競争宣伝が不要なわけでしょ、こういったモノがある、ということは知らせることはあるのでしょうけどね。
資本主義化されても、さらに欧州の田舎かも知れませんが、それでも日本より美意識に優れている(そういったことを気にかける人が多い)んじゃぁないかしら?
ハービーさんのような方は、相手の緊張を緩和させながらお話しを進めてゆくことも上手いのでは、と思いますよ。
by M.Niijima : October 13, 2007 3:27 PM