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September 12, 2007

  バンド・アンサンブルの魅力

60年代末、マイルス・デイビスのグループで時代を超克する名盤「In a Silent Way」、「Bitches Brew」に参加し、その後、同参加のサックス奏者、ウェイン・ショーターとともに、70年代から80年代のシーンを引導していったウェザー・リポートを結成し、華々しい活躍を見せましたキーボーディスト、作編曲家、ジョー・ザヴィヌル氏が9月11日、故郷オーストリアで亡くなられました。

参考:"MADCONNECTION / ジョー・ザビヌルの死"

わたくしは81年のウェザー・リポート来日公演の際、新宿厚生年金会館でのコンサートへ行ったのがザヴィヌル氏の生演奏に触れた唯一の機会でございましたが、上記マイルスでの2アルバム、そして名ベーシスト、ジャコ・パストリアスが参加以降のウェザー・リポートのアルバムは随分聴いておりました。
81年のコンサート(上記のリンク先、wikiのページ下のほうにある掲載写真がそのときのもの。日付まで同じか定かではありませんが、ジャコがあのような派手なストライプのシャツを着ていた記憶があります。)では、ザヴィヌルも、ショーターも、若いもんに任せているよ、という感じで淡々とした印象があり、その代わりジャコ、ドラムのピーター・アースキン、そして特にパーカッションのロバート・トーマスJrの暴れっぷりが凄かったです。wikiのページの写真、左側のカットではジャコと、トーマスJrがマイクに近づいていますが、おそらく名曲「Birdland」のメロディをファルセット・ヴォイスで口ずさんでいるところだと思います。
この来日の前年、レコーディングを前提としたライブを行いアルバム化した「Night Passage」がリリースされており、コンサートではそのアルバムからの曲も多く取り上げておりましたがデューク・エリントンの名曲「Rock'in In Rhythm」、かのエリントン・(ビッグ)バンド・サウンドをモジュレーションを効かせたプロフェット(シンセサイザー)で象徴的に(すなわち本物そっくりということではない)再現した恰好よさ、そして強靭なバンド・アンサンブルにてぐいぐい押してくる迫力に興奮を隠せませんでした。

若い頃はどちらかといいますと、各々スーパーなミュージシャンですから、彼らの個人能力を評価するような聴き方しかできなかったのですが、やはりウェザー・リポートの魅力はバンド・アンサンブルの見事さだと認識を新たにする今日でございます。
例えば「Birdland」。楽曲のコーダ部は主題メロディを延々リピートしてゆくのですが、それを支える演奏の強靭さ。わたくしは優秀な演奏というのは音を発する瞬間、または持続する時間ではなく、いかに止めるのか、その後に休符が与えられておらず、かつスタッカートでもない場合は、いかに次の音に移行するのか、その瞬間が音楽を築いていく肝になっていると考えております。例えば16分音符の連符をいかに鳴らしてゆくのか鳴らしている時間の長さと、鳴っていない時間の長さをどうコントロールしてゆくのか、そういったところまで(意識、無意識は問いません)ケアされた演奏こそ、グルーブを生み、リスナーを真の感動に導くものだと長い音楽との生活と仕事の中で確信しております。
ウェザー・リポートは個々だけでなくアンサンブル全体がそれを可能とする能力を持ち、個々のせめぎ合いから新たな何かを創造してゆく従来のジャズから、バンド総体による音楽づくり、アンサンブルの魅力によって聴かせる音楽となり、70から80年代のエレクトリック・ジャズ/フュージョン・シーンに君臨したバンドなのだと思います。そしてそのバンドを統率していったジョー・ザヴィヌル氏の冥福を心よりお祈りしたいと思います。

「In a Silent Way」、「Bitches Brew」、「Heavy Whether」、「Night Passage」。そしてドラムがオマー・ハキム、ベースがヴィクター・ベイリーとなったウェザーの「Domino Theory」の各LP盤が実家にあるはずです。次の週末、これらを取りに帰ることにいたしましょう。

posted by mniijima : Sep 12, 2007

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comments

今朝、新聞で訃報を知りました。
「うーん」なんてため息をつきながら顔写真をにらめつけました。

"優秀な演奏というのは..." 深いです。深すぎます。

by jj : September 12, 2007 9:44 PM

jjさん、コメントをありがとうございます。
ザヴィヌル氏は75歳になっていたのですねぇ。

優秀な演奏。
サウンドは、それを発する場の環境と、発する楽器の優秀さに加えて、発する人の力量に大きく左右されます。
うまい演奏家の音は(楽器が良いだけでなく)とてもいいのです。
それを分析していった結果、辿り着いたひとつの回答が、いかに止めるのか、ということであり、それがよい演奏に密接していると気付いたのでした。

by M.Niijima : September 13, 2007 2:25 AM

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