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May 9, 2007

  花はどこへいったのか(9)

本日立ち寄ったある本屋の書棚から、一枚の写真が目に飛び込んできました。
よく知った風景です。なぜなら、わたくしも同じ場所から、同じ方向にレンズ向け、撮影をしていたのですから。

江戸通り、浅草橋上から、神田川河口に向けて撮った写真。それは時代小説家、山本一力氏の最新エッセイ「東京江戸歩き」に被せられた帯だったのです。
山本氏の作品を読んだことはありません。そしてこのエッセイも、読んではおりませんし、購入することもないかと思います。おそらくは昨今数多くの書籍が出ております江戸趣味本といいましょうか、失われた江戸情緒もしくは昭和の時代の風景を尋ね歩くといった類の本のようで、浅草や、深川、神田など、今もわずかにその片鱗をうかがうことができる街ごとに綴られているようです。

浅草橋は神田川河口から数えて2番目に架かる橋。河口まで250メートルほどの位置です。すなわち、わたくしが最近の主題として撮影しております、河口間際に架かる「柳橋」が目と鼻の先に見えるところなのです。
わたくしは、其処から(35ミリ・フォーマットの)135ミリ・レンズを使い、ぐうっと、主題である「柳橋」を手前に引き出すように撮影しております。そして昨年末押し迫った、屋形船の出航がほとんどなかった寂しい晩に撮っておりましたので、暗い河縁に静かに舟が並んでいる様子を捕らえております。
そのプリントは未だ公には発表していないものです。

山本氏の本の帯は、本文に挿された写真も含め、金澤篤宏氏という写真家によって撮影されております。(帯は)おそらく67などの中判機に準広角くらいの画角レンズでもって、光射す様子から判断するに、夕刻ころ撮影されたのだと思われます。この画角レンズですとパースがついて、「柳橋」は随分小さく写ることとなり、主題になるだけの存在感を出すことができません。この写真は神田川の川面と、河縁にずらっと並んだ屋形船の景色が主題となっているのです。そして河岸両脇にそびえるビル群が脇役としてしっかり存在しておりました。

先にリンクしましたアマゾンのページで紹介されている商品写真は本体のみで帯が写っていませんでした。そこで帯を被せた状態で紹介されている紀伊国屋BookWebへのリンクも貼っておきます。こちらの商品写真はクリックすることで少し大きめの画像を見ることができます。

帯の写真では「柳橋」が主題を為していなかったことで、わたくしは少しほおぅと胸を撫で下ろしたのですが、最初に目に飛び込んできたときの焦りと緊張は少々嫌なものでございました。

posted by mniijima : May 9, 2007

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