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December 27, 2006

  日本の音(3)

小唄は三味線の撥を使わず爪弾くのだそうですが、それがなんとも言えない味わいを伴奏に付加しており、弾き語り音楽としても充分広がりのある豊かな音楽的世界観を内包していると思えます。
さて、そんな小唄を聴いていると、

   柳橋から小舟で急がせ 山谷掘 ~

ありましたよ、「柳橋から」という古典楽曲が。山谷掘(※)すなわち舟で吉原へ向かう経由地です。君を思えば逢わなかった時間がずいぶんと長かった、今日はどうしていらっしゃったの?という最初の声を聞きにきたんだ、という粋な唄でございます。
わたくしが聴いているCD(小唄名曲集/日本伝統文化振興財団)ではこの曲「市丸さん」という有名な歌手によるテイクが収録されています。市丸さんは歌謡曲なども歌っていらっしゃったのですが、本来長唄、清元、そしてこの小唄において名取となるほどの実力をもった元芸妓さんで、艶やかな声はたいへん魅力的です。と言いつつ、個人的にはその艶のあるお声はたいへん美しいのですが長く聴くには渋みが足りないような、、、もっと皺枯れているほうがこの小唄をCDというメディアで聴くのには良いのかもしれないと思い上がった感想を漏らしてみたり、、、

ところで「小唄」はたいへん耳にやさしく、深夜暗室作業をする際には恰好のBGMとなっております。西洋の音楽はクラシックであろうが、ポップスであろうが、基本的に縦に積まれた響きを、横に断続的に変化させてゆく音楽であると考えることができますが、日本の音楽は基本的に横、すなわち時間的な移ろいに要点があるように思われます。間(ま)がとにかく大切なのかもしれません(間といっても音的なブレイクを必ずや指しているわけではありません)。その音の移ろいは川面に反射した提灯のゆらめきのようで、耳を撫でるがごとく、聴いているとなんとも言えない心地よさに包まれ、最高のヒーリング・ミュージックとなっているのでございます。

(続く)


(※)山谷堀:現在隅田川に架かる言問橋、桜橋の中間あたりに注いでいた堀(川)で、三ノ輪近辺まで続いていたそうです。現在堀は暗渠となり、その上は公園になっております。

posted by mniijima : Dec 27, 2006

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