日本橋川を抜けたわたしたちの船は、ひろいひろい隅田川に入り、猛スピードで上ってゆきました。そのスピードたるや、いままで見学の目的と、狭い水路に余計な波をたてない配慮、また低い橋をくぐってゆかなければいけませんので、ゆっくりゆっくりと航行していたものですから、実際のスピード以上に、周囲の景色が流れ、(乗船しているわたくしが云うのはなんなのですが)それはそれは目にも止まらぬ速さであったのでした。
そして首都高速が走る隅田川大橋をくぐり、清洲橋をくぐり、やってまいりましたのは、小名木川(おなぎがわ)。
神田川、日本橋川は、隅田川右岸にそそぐ川、水路ですが、小名木川は左岸方向へと入ってゆくのです。江東区を東西に横断し、隅田川と旧中川を結ぶ水路なのでございます。どうやら家康の命により、江戸川水系から塩を、利根川水系から農作物などを江戸まで運搬するために開削されました重要な水路であったようです。
この小名木川の入口には、万年橋が架かっております。隅田川での速度が幻であったかのように減速して小名木川を進みます。
万年橋をくぐりますと、例えば隅田川の水位が高潮などで異常に上がった場合など、地盤の低い小名木川流域を水害から守るための水門、新小名木川水門が聳えております。そして高橋(たかばし、と読みます)、西深川橋、東深川橋、大富橋、新高橋と多くの橋をくぐってゆきますと、大横川との交差に出合います。人工水路をゆく醍醐味のひとつでございましょう、川の交差点であります。
そして新扇橋をくぐりますと、すぐ目の前に見えてきました。
扇橋閘門でございます。
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日本橋をくぐった後は、江戸橋、鎧橋、茅場橋と進んでゆきます。その先の右岸、亀島川への分流地点には、この日本橋川から、亀島川側の様子がほとんど窺えないほどの巨大な水門(日本橋水門)が聳えております。そしてその水門のあたりで、この川の上空部にはばったく乗っかっておりました首都高速道路は左岸のほうへ逸れてゆき(高速道は)箱崎に向かいます。船に乗るわたくしたちがホッとした瞬間でございました。
そして霊岸島(現中央区新川)と箱崎を渡す湊橋をくぐりますと、その先に、日本橋川の終点、すなわち隅田川が見えてまいります。
今回の写真は、その河口、日本橋川最下流に架かる橋、豊海橋でございます。
はぁ、気持ちいい。
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"水路をゆく/日本橋川/豊海橋"
Oct '07, @Nihon-bashi-gawa, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 35mm f2 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Fuji Varigrade WP AM, dev in Fuji Korectol E (1:1)
それでも日本橋の欄干彫刻は僅少の間から天に向かって屹然としていたのでした。
(click on the image for enlarged)
"水路をゆく/日本橋川/日本橋(2)"
Oct '07, @Nihon-bashi-gawa, Tokyo.
Taken with the Nikon new FM-2 with the Nikkor 28mm f2.8 lenz.
Fuji Neopan 1600 Super Presto @EI 800, dev in Kodak X-tol (1:3)
Fuji Varigrade WP AM, dev in Fuji Korectol E (1:1)
それは分厚い鉄板とコンクリートによって上空部を覆われておりました。そして、その上空部を支える3本の柱が開けた視界を阻んでおりました。
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黄金週間を終えようとしています。後半、関東地方はどんよりとした雲に覆われた日が続きましたが、最後の本日は素敵な青空を目にすることができました。昨今、この黄金週間に合わせ、東京有楽町ではラ・フォル・ジュルネという音楽祭が開かれております。(音楽祭につきましてはラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2008公式ウェブサイトをご参照ください。) 1公演、約45分程度のものが求めやすい価格で販売され、朝から晩まで、いろいろな公演を梯子できるのがこの音楽祭の魅力なのではないでしょうか。
今年の音楽祭のテーマはシューベルト。早くから公演プログラムをチェックしていたのですが、どうも決め手に欠け、いや公演内容のせいではなく、わたくし自身がもたもたとしていただけなのですが、結局チケットを買い求めませんでした。
シューベルトと云いますと、まず歌曲王の異名があるほど、歌曲作曲における功績が大きいのですが、その他、ピアノ曲、室内楽曲、交響曲、オペラに教会音楽と、わずか31年の生涯でありながら、あらゆるジャンルに渡り多作しております。
わたくしは、彼の楽曲を多く聴いてきたわけではございませんが、わたくしにとってのシューベルトと云えば長らくは、交響曲9番(最近はスケッチしか残されていないホ長調曲・作品D729から交響曲としての通し番号「7番」を外すことが主流になっており、よってロ短調未完成交響曲を従来の8番から7番へ繰り上げ、この9番も8番へと変更されております。ただし長年親しまれた番号を変更するのはいかがなものかという意見も多くあるようです。)ハ長調「ザ・グレート」作品D944のことでございまして、いろいろな演奏を楽しんでまいりました。
ところが最近、ひょんなことで彼の第2交響曲(変ロ長調、作品D125)を聴きまして、その爽やかな5月の風のような楽曲に心奪われたのでした。
(下に、CDへのリンクを追記いたしました。'08.5.7.)
柳橋を撮影対象としましてから、興味を覚え、そして読みました幸田文さんの「流れる」。その文体にすっかり惚れ、その後いくつかの彼女の小説、随筆を読みました。幸田さんの本は、装丁が美しく、所有するのは文庫ではなく、是非単行本だと、そして「きもの」という作品は殊更にその思いが強く、美本を求めて、まだ手にしていなかったのであります。
先日neonさんの、nidoとのコラボ作品展に伺いましたとき、折しもあれ、谷根千界隈では、一箱古本市が開催されておりまして、わたくしの読書にかかせない情報をくださる、じんた堂さんも出品されておりました。
じんた堂さんの一箱のお店には、なんと新刊書であります「川の地図辞典」も置かれていました。傍らにはちらしも用意されている周到ぶりに驚き、そして喜ばしい気持ちへと導かれたのでした。
さて、じんた堂さんの一箱には、お父さんの趣味本として、戦前戦後のカメラの本、2眼レフを紹介する本であったり、写真(撮影技)術の本がございました。中味を拝見しますと、そんな時代の本とは思えないようなきれいな図、写真が挿されており、驚嘆したのですが、それらお父さんの趣味本は購入せず、お母さんの趣味本として出品されておりました幸田文さんの「きもの」がとてもきれいでしたので、これはセットで読んでくださいと仰るじんた堂さんの推薦の言葉に釣られまして、露伴の孫、文の子である、青木玉さんと、京都の染屋、吉岡幸雄氏との対談本「きもの暮らし(PHP研究所刊)」を併せて購入してまいりました。ちょうど玉子さんの「小石川の家」を読み終えたところでしたので、気分も盛り上がり、読書を進められそうでございます。

それにしても、文、玉、両氏の本はほんとうにきれいです。次には玉子さんが、母・文が遺した着物を手にし、再び活きた美しい着物となってゆくことを記したそうな「幸田文の箪笥の引き出し」を是非手にしたいと考えているのです。
ところで、じんた堂さんには御土産というにはもったいないほどの品をいただいてしまい、お世話になってしまったのでした。ありがとうございました。
そういえば、「遅々として、すすめすすめ」というシリーズのエントリーが途中でございました。
所用を終え、中板橋駅に戻ってきましたわたくしは、昼どきの空腹を堪えきれず、ここで食事を摂ることにいたしました。踏み切りを渡りました駅北側は賑わった商店街になっておりましたので、きっとなにかあるであろうとウロウロしておりますと古着屋を発見。おもわず500円でGジャンを衝動買いしてしまいました。決して高円寺や下北沢にあるような古着屋を想像してはいけません。ここは中板橋、「なかいた」商店街なのですから。そして店の奥には和服もたくさん掛かっていまして、時間があるとき、再訪してみたい店なのでございます。
さて、寄り道をしてしまいましたが、よさそうな食事処はすぐに見つかりました。店の前で、キムチやナムルを売っている韓国料理屋さんからよい匂いが香ってきたのですから。
店内には子連れのお母さん二組、そして恐らくはリタイア後の余生を楽しんでいらっしゃるような二人組みのオジサン。お母さんたちははしゃぐ子供を気にしてオジサンたちに謝っていらっしゃいますが、オジサンたち、ひとりは瓶ピール、もうひとりはチューハイと昼から景気よく、子供は元気が良いのが一番とにこやかです。そんなほのぼのとした店内の雰囲気に心地よさを覚え、わたくしは半熟の目玉焼きがのったキムチチャーハンをいただき、おいしいお昼のひとときを過ごしたのでした。
食後は爛漫に咲くさくらを見に、石神井川のほとりへ。深く掘られ、コンクリートに固められた護岸。都内のどことも変わらぬ川風景。すこし上流にはほぼ90度に川が折れ曲がるところが見え、神田川の大曲を思い出したのです。
ここから西に、環状7号も超えますと、常盤台という街に至ります。其処も散歩するには楽しそうな住宅地のようですので、機会あれば訪れてみたいと、あまり詳しくない板橋区の有様に興味が芽生え始めたのでした。
(了)